不正受給10兆円以上 米国のコロナ給付金詐欺

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シークレットサービスは21日、連邦政府が配布したコロナ給付金うち、1,000億ドル(約11.5兆円)ちかくが、不正受給された可能性があると発表した。

政府は、2020年にパンデミックが始まって以来、議会で承認された救済金のうち、中小企業向けの給与保護プログラム(PPPローン)や、経済損害災害融資(EIDL)、失業手当など3.5兆ドル(約400兆円)を支出してきた。

シークレットサービスでは、大統領の護衛のほか、金融詐欺の調査をしており、これまで約100人を逮捕。23億ドル(2,600万円)以上を回収したという。

今回新たに「全米パンデミック詐欺回収コーディネーター」を命じ、膨大な詐欺事件を調査すると発表している。

仮想通貨を含む金融詐欺事件のベテラン調査官、ロイ・ドットソン(Roy Dotson)特別捜査官は、CNBCのインタビューで、現在、国内外の犯罪組織から個人によるものまで、現在900件以上の事件を捜査中だと明かし、「これほど大規模な犯罪は、見たことがない」と説明。給付金は、ネットで簡単に申請することができたため、犯罪者が入り込む余地があったと語った。

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昨年より、捜査当局によって、さまざまな詐欺行為が明るみに出ている。今年5月、他人の個人情報を使って、パンデミック関連の失業保険給付金200万ドル(約2.2億円)を不正に受け取ったとして、連邦捜査当局は、ニューヨーク市在住の男8人を起訴した
男らは、100枚以上の他人名義のデビッドカードを使用し、ATMから現金を引き出したうえ、SNSに自慢する写真を投稿していた。

労働局は3月、失業プログラムで給付された8,960億ドル(約100兆円)の失業手当のうち890億ドル(約10兆円)に、「不正の可能性」があると報告書を発表した。その大部分は詐欺だとして調べを進めている。

ネットでは、不正受給に加えて、セレブや富裕層が、政府の中小企業向け特別ローンを通じて、多額の資金を受け取ったことに対し、不満の声が上がった。

あるユーザーは、カトリック教会やカニエ・ウエスト、ジョエル・オスティーン(テレビ宣教師)、トム・ブレイディ(アメフト選手)から、資金を返還すべきだとのコメントを投稿した。