Gen. Sergei Surovikin. Photo: Ministry of Defence of the Russian Federation, Creative Commons Attribution 4.0

ウクライナのゼレンスキー大統領は20日、EUサミットで行ったリモートスピーチで、南部ヘルソン州のダムをめぐり、ロシア軍が偽旗作戦を実行しようとしていると説明した。

この2日前、アルマゲドン将軍の異名を取るとされるロシア軍のセルゲイ・スロビキン総司令官は、就任後初のテレビ出演で、ウクライナの進軍により、戦況は「緊迫」しているとした上で、ロシア占領下にある「カホフカ水力発電所のダム」に対して、ウクライナ軍が「大規模なロケット攻撃」を準備している情報があると主張した。

また同日、ロシアが任命したヘルソン州のウラジーミル・サルド知事は、住民らに対して、ウクライナ軍のダム破壊計画により、ドニエプル側西側の領土が洪水に見舞われる危険が差し迫っていると警告。民間人の死傷者を回避し、軍の任務遂行を妨げるのを防ぐために、民間人は左岸(東側)に「組織的、段階的な方法」で移住させると発表した。

7日間で6万人を移動させるとしており、19日には、長蛇の列に並ぶ人々の姿が報じられている。

ゼレンスキー大統領は、EU首脳らに対して、ロシアが南部で意図的に大規模な災害を起こそうとしているとした上で、「カホフカ水力発電所のダムと骨材に機雷をしかけている情報がある」と説明した。

ダムの貯水量は1,800万立方メートルで、爆破されれば80個以上の集落が洪水の危険に晒されると同時に、ザポリージャ原子力発電所が冷却水を失う危険があると語った。同原発では、カホフカ貯水池の水を利用しているという。

カホフカ水力発電所の職員はすべてロシア人に置き換えられたとの情報もあるとし、「ロシアは新たな偽旗作戦をするためにこれを行っている。テロリスト攻撃をしかけて、ウクライナのせいにするためだ」と語った。

カホフカ水力発電所

この前日、米シンクタンク「戦争研究所」は、ロシア軍が、カホフカ水力発電所で偽旗作戦を実行するための情報整備をしているとの評価を示していた。目的について、ロシア軍はダム破壊で西岸からのウクライナの進軍を遅らせることができると考えているとしたほか、洪水を、ヘルソン西部からの撤退という屈辱的な知らせを隠すことに利用する可能性があると指摘した。

同研究所はさらに、ロシアは民間人の「避難」を強制移住の隠れ蓑に利用しつづけているとも説明。この目的について、ウクライナが領土を奪還した場合の地域経済の回復を妨害することと、民族浄化運動の両面があるとした。また軍に動員して、仲間同士で戦わせる可能性にも言及した。