アカデミー賞平手打ちのウィル・スミス「キャンセル」から復活

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俳優ウィル・スミスが、アカデミー賞での「ビンタ事件」から約8カ月ぶりにテレビ番組に出演した。この間、ブータンや中東、アフリカなど世界を旅していたという。

新作映画「自由への道」(Emancipation)の公開を控え、28日放送のトレバー・ノアのトーク番組「ザ・デイリーショー」に出演し、授賞式の壇上でクリス・ロックを引っ叩いた件に言及した。

「ご存知のように酷い夜だった」「結局は、自らを見失った」と振り返った。「一部の人々に衝撃を与えたことは理解している」と述べ、「非常に長い間しまい込んでいた怒りだった」と釈明した。「混乱していた」としつつ、詳細については「誤解を与えたくない」と、説明を差し控えた。

授賞式の夜、自宅で9歳の甥から「ウィルおじさん、なぜあの男性をぶったの?」と尋ねられたと明かし、「なんてこった、なぜ彼はオプラのように質問してくるのか」と冗談を述べ、会場を笑わせた。

「自由への道」は、アントワーン・フークア(Antoine Fuqua)監督や、ボブ・リチャードソン撮影監督らによる”マスターピース”だと称え、「私のひどい決定で、彼らの作品が汚されないことを願っている」と語った。

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番組では、司会のトレバーが「みな間違いを犯す」と擁護すると、客席から拍手が起き、ウィルが涙を拭う場面もあった。

この日、ウィルはFox5DCの番組に出演し「まだ(映画を観る)準備ができていない人がいるのは、よく理解している」と述べ、彼らの意思と自由を「尊重する」と語っていた。

早い謝罪が復帰への鍵

ウィル・スミスは今年、「ドリームプラン」(King Richard)で、女子テニスのウィリアムズ姉妹の父親キング・リチャード氏を演じ、初のアカデミー賞主演男優賞を受賞した。

授賞式の翌日、クリス・ロックと映画芸術科学アカデミーに対して、インスタグラムで謝罪声明を発表した。のちに自主的にアカデミーからの退会を表明したが、アカデミーはこれとは別に、アカデミー賞を含む同団体関連イベントから向こう10年、出入り禁止にする処分を決めた。

「自由への道」は2020年、アップルが破格の1億2,000万ドルで世界配給権を獲得した。南北戦争で奴隷制を逃れ、北軍に加わった実在の人物”ピーター”を描いた同作品は、来年のアカデミー賞ノミネート有力作として注目を浴びていたが、事件を受け、2023年に公開が延期される可能性も報じられていた。

ウィル・スミスの早期復帰に関して、危機管理を専門とするPR会社Red Banyan社のバイスプレジデント、ケルシー・キントナー氏はFoxニュースに対し、有名人が「キャンセル・カルチャーの煉獄」から抜け出すための応急措置はないとしつつ、ファンはお気に入りのスターに対して「極めて寛大」であり、ウィルは「悪い振る舞いについて、公に認めるという良い仕事をした」と対応を評価した

セレブに不正行為があった場合、「常にできるだけ早く責任を認めることが重要だ」と述べ、反抗的な態度や不適切な発言は「炎上するだけで、復帰に時間がかかるか、それさえも不可能になる場合がある」と語った。

「自由への道」は、2日に北米の劇場で公開された後、9日よりApple TV+で配信される。