カレン・マクドゥーガルとは?トランプ氏の二人目の「口止め料」疑惑

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先週、ニューヨーク州の大陪審によって、大統領経験者として初めて起訴されたトランプ前大統領。捜査は主に、2016年の選挙戦終盤にポルノスターのストーニー・ダニエルズ氏に支払われた「口止め料」に関係するものと報じられているが、マンハッタン地区検察の検事らは、二人目の女性に渡ったもう一つの「口止め料」についても検討を進めていたという。

女性は、元プレイボーイのモデルで、1998年にプレイメイト・オブ・ザ・イヤーに選出されたカレン・マクドゥーガル氏。ダニエルズ氏と同様、支払いには、当時トランプ氏の腹心だった弁護士、マイケル・コーエン氏が関与した。コーエン氏は2018年、これらの支払いが違法な選挙献金にあたるとして、脱税や議会への偽証などその他の罪とともに起訴された。同年有罪を認め、実刑を言い渡された。

USA Todayによると、マクドゥーガル氏の件は、捜査に詳しい人物が明かしたものだが、最終的に罪状に含まれたかどうかは不明だとしている。起訴状はまだ公開されていないが、トランプ氏に対する訴因は30件を超えるとも報じられている。

15万ドルの口止め料

2018年のコーエン氏に対する裁判資料で、ニューヨーク南部地区の連邦検察は、コーエン氏が選挙期間中に、トランプ氏(資料では個人1とされる)の指示を受けて、不倫関係にあったと主張する女性らに口止め料を支払い、それには2016年の大統領選挙に影響を与える意図があったと指摘した。

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資料に記された内容によると、マクドゥーガル氏は、2016年6月、弁護士を通じてタブロイド誌「ナショナル・エンクワイアラー(National Enquirer)」に、不倫話の売り込みを試みた。

同誌の親会社アメリカン・メディアの当時の会長、デヴィッド・ペッカー氏は、トランプ氏と親しく、以前からこうした話が浮上した場合は、出版権を購入し、公になるのを封殺する役目を申し出ていた。その後、ペッカー氏の企業に払い戻すとの約束のもと、コーエン氏の要請に従い、同社はマクドゥーガル氏側と交渉。2016年8月、15万ドルでマクドゥーガル氏から不倫話の権利を取得し、代わりに雑誌の表紙に掲載するなどの契約を締結した。

なお翌月、コーエン氏とペッカー氏の間で、契約の一部な権利をアメリカン・メディアからコーエン氏のシェルカンパニーに12万5,000ドルで譲渡することで合意にいたった。ただしこれは完結しなかったという。

なおトランプ氏は関与を否定しているものの、2018年7月、出版権の買取をめぐってコーエン氏がトランプ氏に計画を伝える会話テープが流出した。

コーエン氏はこの中で、マクドゥーガル氏の不倫話の出版権を買い取るため、資金元として新しい会社を設立する計画を、トランプ一族の企業の財務トップ、アレン・ワイセルバーグ氏と協議したなどと語っている。

ちなみに先述のペッカー氏は、起訴の3日前の3月27日に、大陪審に証言を提供したと伝えられている。

カレン・マクドゥーガル 出会い

トランプ氏とマクドゥーガル氏の情事は、2018年2月に雑誌ニューヨーカーが、マクドゥーガル氏本人の直筆メモをもとに報じている。

それによると、出会いは2006年6月、ロサンゼルスのプレイボーイ・マンションで撮影されたリアリティー番組「アプレンティス」の打ち上げの席だった。当時のトランプ氏は、メラニア夫人と結婚2年目で、息子のバロン君は生後数ヶ月だった。

マクドゥーガル氏によると、トランプ氏はすぐに好意を抱き、いかに美人かなどについて話しかけたという。あまりに露骨な態度に、パーティーに参加していたプレイメイトの広報幹部から「君に夢中だったね。次の奥さんになれるんじゃない」と冷やかされるほどだった。

二人は電話番号を交換し、その後頻繁に連絡を取るようになった。

最初のデートは、ビバリーヒルズホテルのプライベートバンガローでの夕食だった。数時間談笑をした後、互いにスイッチが入り、裸になりセックスをしたという。帰ろうと着替えをしていると、トランプ氏はお金を差し出した。マクドゥーガル氏が「結構。私はその手の娘じゃない。あなたが好きだから寝たの。金のためじゃない」と断ると、トランプ氏は「君は特別なんだ」と話したという。

マクドゥーガル氏は、その後、トランプ氏がロサンゼルスを訪れる度に会うようになり、全米で行われるイベントにも呼ばれるようになった。旅費はすべてトランプ氏が負担したという。

ストーミー・ダニエルズとニアミス?

2006年7月、カリフォルニアのタホ湖のリゾートで開催されたゴルフトーナメントにトランプ氏とともに参加した。この時もセックスをしたという。ただし、このトーナメントについては、ストーミー・ダニエルズ氏がトランプ氏と知り合い、肉体関係を持ったと主張している。ダニエルズ氏は後にテレビ番組で、トランプ氏と一戦交えた様子を赤裸々に語っている。

トランプ氏との関係はさらに深まり、家族の出席するイベントに呼ばれたり、トランプタワーの私邸やトランプ氏が所有するニュージャージーのゴルフクラブを案内されたりするまでになった。トランプ氏はある時、メラニア夫人の独立した寝室を指して、「彼女は、本を読んだり一人になるために、自分の空間が好きなんだ」と話したことがあったという。

トランプ氏はまた、クリスマスプレゼントに、ニューヨークのアパートを購入すると約束していたという。

二人の関係が終わったのは、出会いから9ヶ月以上が経過した2007年4月。マクドゥーガル氏の友人によると、マクドゥーガル氏が罪悪感を感じたことが破局の一因だったという。

ちなみにトランプ氏は4日にマンハッタン地区検察に出頭する予定で、指紋採取などの手続きを経て、罪状認否が行われると伝えられている。