遺族は迷惑?トランプ氏 選挙集会で『蛇』の詩を朗読

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17日、ネバダ州リノで選挙集会を開いたトランプ前大統領は、改めて不法移民への厳しい姿勢をアピールした。

トランプ氏は、バイデン政権と”議会のウルトラ左翼の過激主義者”によって、アメリカを血に飢えた犯罪者と野蛮なギャングの天国に変えたと主張。ギャングが危険な囚人を刑務所や世界中の精神病院から送り込んでいると不安を煽り、「ハンニバル・レクターだ。羊たちの沈黙で聞いたことがあるだろう」と語った。

不法移民による犯罪の例を挙げた後、「みんな蛇(Snake)を聞いたことあるか?」と問いかけ、おもむろにスーツのポケットから紙を取り出して詩を朗読した。

詩は、凍った蛇を家に連れ帰って手厚く介抱した女性が、息を吹き返した蛇に噛まれて死亡するという内容。クライマックスでは「あなたを助けたのに」と叫ぶ女性に、蛇は「黙れ、愚かな女」と笑みを浮かべて、「お前が私を連れ帰る前から、蛇であることをよくわかっていたじゃないか」と告げる。

トランプ氏は2016年大統領選の頃から繰り返し朗読しており、「国境で起きていることのメタファーであり、何が起きるのかについてのメタファー」と説明している。

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なお、『The Snake』は、シカゴの黒人活動家でソウル歌手オスカー・ブラウンJrによる1963年の作品。トランプ氏が認識しているか不明だが、ワシントンポスト紙によると、ブラウン氏はシカゴの共産党員だった。

ブラウン氏は、モダンジャズドラムの開祖マックス・ローチの「We Insist! Freedom Now Suite」といった、公民権運動を取り上げたジャズ作品にも詩を提供しており、こうした作品は、黒人賛美や人種差別の否定であるとも評されている。また、Snakeは2008年に他界した「Show And Tell」で知られるソウルシンガー、アル・ウィルソンがカバーし、国内ポップチャート27位を獲得した。

ブラウン氏は2005年に78歳で他界しているが、二人の娘マギー・ブラウンさんとアフリカ・ブラウンさんは、トランプ氏の流用に批判的で、使用をやめてほしいと思っているという。ポスト紙に対して、偏見を助長するために再利用されたことが腹立たしく、父親の仕事に反していると述べている。

ブラウン氏は政治活動への関わりからレーベルやクラブからブラックリスト扱いされたといい、姉妹は、保守派に再評価を受けていることを皮肉と感じているという。「彼らは取り下げたかった」が「今になって父の作品を引っ張り出したがっている」と語っている。