ジョン・ダーラム特別検察官は15日、2016年大統領選におけるトランプ陣営とロシアとの共謀の可能性に対する捜査活動について、「司法省とFBIは、法に厳格に忠実であるという重要な使命を守らなかった」と結論づけた。
発表を受け、トランプ氏はすかさずTruth Socialのアカウントを更新。
「ワオ!広範な調査の結果、特別検察官のジョン・ダーラムが、FBIはトランプーロシア捜査を開始するべきではなかったと結論した。言い換えれば、国民は詐欺にあったのだ!」と投稿した。
2020年2月に当時司法長官だったウィリアム・バー氏によって特別検察官に任命されたダーラム氏は、約3年にわたり、コードネーム「クロスファイア・ハリケーン」捜査の正当性や、これに関連する情報活動について調査を行った。ロシアによる選挙干渉の取り組みとトランプ陣営とのつながりを捜査した「クロスファイア・ハリケーン」は、2016年7月から翌年5月にかけて実施され、後のFBI長官の解任、さらにロバート・モラー特別検察官によるロシア疑惑捜査へとつながっていった。モラー氏は2019年4月に公表した終了報告書で、陣営とロシアの間の共謀または連携は立証されなかったと結論づけた。
ダーラム氏は15日、「2016年大統領選挙から生じた情報活動および調査に関する事項についての報告書 」と題した300ページを超える報告書を公表。この中で「特定の出来事や活動に関して、司法省とFBIは、法に厳格であるという重要な使命を守らなかった」と断じた。FBIの弁護士が、外国諜報活動偵察法(FISA)に基づく捜査令状の取得に際しメールを捏造したことで有罪になった例や、同申請に関わったFBI職員が「正確さと完全性に対して軽率な態度」を示したこともあったと指摘した。
「FBIの上級職員が、特に政治的つながりのある人物や組織から受け取った情報について、重大な分析的厳格さを欠いていたことが判明した」とも説明。「トランプ氏の政敵によって提供または資金提供された手がかりに著しく依存していた」とし、「これらの資料や提供者の動機について、十分に検討または疑問を投げかけることがなかった」と批判した。
「FBIと司法省は、分析的厳格さの欠如、明らかな確証バイアス、政敵に関係する個人からの情報への過度の依存により、捜査官が、対立仮説を十分に検討せず、米国の政治運動と外国勢力の間の共謀や陰謀の疑惑を追及するにあたり、適切な客観性と抑制を持たず行動したことを認識する必要がある」と指摘した。
トランプ陣営のカーター・ペイジ元外交顧問に対するFISA令状の取得に重大な役割を果たし、その後スキャンダラスな内容が明るみとなったスティール文書について、「原因不明の理由」によりFBI捜査官の元に届いただけだったとした上で、「報告に含まれた主張のいかなる裏付けも取らず、取ることもできなかった」とした。
FBIが後に、文書作成者の英情報機関の元エージェント、クリストファー・スティールの情報元と特定したイゴール・ダンチェンコ氏も、2017年1月のFBIによる事情聴取の中で、主張の裏付けを提供できず、むしろ情報は「噂と憶測」で、カジュアルな会話の産物だったと証言したという。