トランプ前大統領(76)から約30年前に性的暴行を受けたとする女性がトランプ氏を訴えている裁判で、裁判所はこのほど、当事者の供述を記録した証言録取書を公表。トランプ氏が疑惑を否定するばかりでなく、女性に対し逆提訴する構えを見せていることが分かった。The Hillが伝えた。

事の発端は2019年、作家のE・ジーン・キャロルさん(79)が、1990年代にニューヨーク市内のデパート「バーグドーフ・グッドマン」の試着室で、当時不動産業界の大物だったトランプ氏から性的暴行を受けたと告発したこと。これに対して同年6月、大統領だったトランプ氏が、キャロルさんの話しを嘘だとして否定した上、「彼女は私のタイプではない」などと主張すると、キャロルさんは、この発言が名誉毀損にあたるとして提訴に踏み切った。

なおトランプ氏は、大統領在任時の発言について訴えることはできないと主張しており、裁判の行方はワシントンD.Cの控訴裁判所の判断に委ねられている。一方、キャロルさんは昨年11月にも新たな訴訟を提起。2回目には、ニューヨーク州の法改正で、成人の性的暴行については時効成立後でも訴訟を起こせる猶予期間が設けられたことから、名誉毀損に性的暴行の訴えが加えられた。

公表された証言録取は、昨年10月にトランプ氏のフロリダ州にある邸宅マールアラーゴで作成されたもので、その内容から、トランプ氏がキャロルさんに対して徹底抗戦の構えを取っている様子が露わになった。

証言録取書によると、トランプ氏はキャロルさんを「変人」「病気、精神病者」などと呼び、「私の意見では、彼女は問題を抱えている」と徹底的に攻撃。キャロルさんの主張を「でっちあげ」と真っ向否定した上で、「これが片付いたら、私が彼女を訴える。とても楽しみだ」と、キャロルさんを逆提訴すると宣言した。キャロルさん本人だけでなく、キャロルさんの代理人を務めるロベルタ・カプラン弁護士も合わせて訴えるとした。

また、「私が彼女に魅力を感じるなどあり得ない。中には魅了される人もいるのかもしれないが、私は未だかつて彼女に魅力を感じたことは一度もない」と従来の主張を繰り返し、さらに2024年の米大統領選を念頭に、自分を「裁判沙汰で忙しくさせ」ることで時間を無駄に使わせ、大統領選に集中できなくする魂胆だ、などとも訴えた。

一方、証言録取書によると、カプラン弁護士からトランプ氏への質問で、今までに女性に性交を強要したことがあるかと聞いたところ、トランプ氏は「答えはノーだ。だが君のクライアントのように嘘をつきたがる人間がいる」と回答。同意なく女性にキスをしたことがあるかという質問には「まあ、ない。苦情を受けた記憶はない。いやノーだ。と言うか、私はそうは思わない」と返した。

さらに、キャロルさんがかつてCNNのインタビューで語った内容をはき違えて解釈したのか、トランプ氏は「実際、彼女自身それが気に入ったようだ」「セクシーだったと言っていただろう?レイプされるのがとてもセクシーだと。そう言ってなかったか?」とも主張した。ちなみに、実際にキャロルさんがCNNで語った内容は「レイプをセクシーだと思う人も多い。ファンタジーとして考えるから(中略)セクシャルじゃない――痛いだけ」というもの。

キャロルさんがトランプ氏を最初に提訴した2019年から2020年にかけ、当時大統領だったトランプ氏に対しては、キャロルさん以外にも20人以上の女性が過去に性的嫌がらせを受けたと告発している。