知らない間に毎週献金!?トランプ陣営 支持者から大量の返金要求

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トランプ陣営が再選に向けてオンラインで支持者から集めた献金のうち、1億2,270万ドル(135億円)が返金されていたことがわかった。バイデン陣営の返金額は2,100万ドル(23億円)だった。

トランプ陣営は献金の決済に際し、WinRed社の専用プラットフォームを使用している。民主党候補者に同様のシステムを提供するActBlueが非営利組織にであるのに対して、WinRedは営利企業だという。

全体では、トランプ陣営はWinrRedで調達した献金の10.7%を返金しており、バイデン陣営のActBlueの返金率2.2%を大きく上回った。

返金を要求した多くの支持者は、献金は一回限りで、定期支払いのチェックボックスに気がつかなかったと主張している。

トランプ陣営のサイトでは、昨年3月から、定期支払いについて、あらかじめチェックの入ったチェックボックスを採用した。当初は太文字で「これを毎月の定期支払いにする」と記されていた。

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6月には新たなチェックボックスが出現。太字で「トランプ大統領の誕生日に、献金の記録を破ろう」と書かれ、チェックが入れられていた。注意書きとして「追加献金は6月14日に処理される」と記されていた。

以降、トランプ陣営のサイトでは2つのチェックボックスが標準となった。

9月には、毎月の支払いが「毎週」に変更された。選挙が近づくにつれ、太字の宣伝文句が増え、10月には太字の文言が8~9行となった。定期支払いや追加献金の注意書きは1行で、最下行に記されていた。

選挙前2カ月半で、トランプ陣営と共和党全国委員会、両者の共有アカウントでは53万件の返金が発生し、返金額は6,430万ドルに上った。同期間のバイデン陣営と民主党委員会の返金件数は3万7,000件で、560万ドルだった。

返金には、個人の献金額の上限を上回ったケースなども含まれるが、政治戦略家や専門家は、過去に覚えがないほどの規模だと指摘している。返金総額は、全国の民主党候補者の返金額を合わせた金額を上回った。

銀行やクレジットカード会社には、献金者からの苦情が殺到した。複数の銀行はタイムズの取材に、WinRedに関連する詐欺の申し立てが、ピーク時に全作業量の1-3%に達したと話した。全国規模のクレジットカード会社も同様の数値を答えた。金融の専門家は、米国全体の経済に対する政治献金の規模を考えると、驚くほどの大きさだと指摘している。

昨年9月に500ドルを献金したカンザスシティの63歳の男性は、30日間で献金額が3,000ドルに増えていた。公共料金や家賃の支払いがバウンスし、銀行口座が凍結されて初めて気がついたという。男性は癌をわずらい、毎月の1,000ドルに暮らしていた。2月に他界した。

9月初旬に990ドルを献金したというカリフォルニアの78歳の女性は、知らないうちに7回分が請求され、最終金額は8,000ドル近くになっていた。

WinRedは、すべての寄付者は、定期支払いの停止に関するメールを、事前に少なくとも一回は受け取っていると説明。返金を「並外れて容易」にするため、返金を求める人々には24時間受付をしているとしている。なお同社は、ActBlueと異なり、一回の献金ごとに3.8%と手数料として30セントを受け取っている。手数料は返金に含まれないという。

トランプ陣営のスポークスマンのジェーソン・ミラー氏は、タイムズに対して「内部記録」では、WinRedを通じた取引に関する「正式なクレジットカードの異議申し立て」は0.87%だったと主張。「草の根で史上最大の寄付金を集めたにもかかわらず、1%以下だったことは注目に値する」と反論している。