「フェイクニュースだ」トランプ陣営 ウクライナの領土割譲案報道を否定

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トランプ前大統領は私的な会話の中で、ウクライナに領土の一部を手放すよう圧力をかけることでロシアの侵攻を終結させることができるとの考えを示したという。ワシントンポスト紙が、トランプ氏本人または顧問らと同案について協議した匿名の関係者の話として伝えた。

トランプ氏の計画は、ウクライナに対してクリミアとドンバスの国境地域をロシアに割譲することを促すという内容で、両国は「メンツを保って、出口を望んでいる」と話したほか、ウクライナの一部の人々はロシアの一部になることに問題はないと述べたという。

トランプ氏はこれまで、自分が大統領になれば交渉で24時間以内に紛争を終結できると豪語している。ただし、どのように迅速に解決に持ち込むかについて特定を避けてきた。

トランプ氏の計画の噂は昨年11月に首都ワシントンで行われた中道右派の外交政策関係者と欧州外交問題評議会の訪問団との会合で広まったという。

この会合に参加した複数の関係者によると、トランプ政権で安全保障の当局者だったマイケル・アントン氏は、トランプ案の「予想される輪郭」について、「ウクライナがクリミナとドンバスを譲り、NATOの拡大を制限し、プーチン氏に中国依存を緩和するように誘う」ものと説明したという。

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ただし、ワシントンポスト紙が先月アントン氏にコンタクトすると、同氏はトランプ氏と1年半から2年間会話をしておらず、トランプ氏のウクライナに対する計画について何も知らないと否定したという。

この報道に、ウクライナ内務省の顧問アントン・ゲラシュチェンコ氏はXのアカウントを更新し、トランプ氏の計画は「第二次世界大戦後の秩序の究極の崩壊と、力の法則が法の力に優先することを意味するものだ」と批判した。

専門家はトランプ氏の思惑の有効性に疑問を呈した。

ロシアを中国から引き離すには制裁の緩和が必要になる。国家安全保障会議で欧州・ロシア担当上級顧問を務めたフィオナ・ヒル氏は、「意義ある制裁の緩和はヨーロッパの協力に依存するため、一方的合意に対する米国の影響力は限定されている」と指摘。「ウクライナとヨーロッパの同盟国は、トランプ氏のモスクワとの合意の取り組みに抵抗するだろう」と見通しを示した。

一方、トランプ陣営は「フェイクニュース」とワシントンポスト紙の報道を否定した。

陣営の顧問、ジェイソン・ミラー氏はニューヨークポスト紙に「全てがワシントンポストからのフェイクニュースだ。でっちあげているだけ」と否定。「殺害の停止について話しているのはトランプ大統領だけだ。ジョー・バイデンはさらなる殺害について話している」と反撃した。