「トップガン」続編 原作者遺族が著作権侵害でパラマウントを提訴

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©MashupReporter

トム・クルーズ主演の映画「トップガン:マーヴェリック」が先月27日の公開以来、興行収入5億ドルを突破し大ヒットする中、配給元のパラマウント・ピクチャーズが著作権をめぐって提訴された。ABCニュースが伝えた。

「トップガン:マーヴェリック」は、1986年に公開され世界的なヒットとなった映画「トップガン」の続編。オリジナルの「トップガン」は、1983年に作家の故エフド・ヨネイ氏がカリフォルニアマガジン向けに執筆した、戦闘機パイロットと米海軍の精鋭育成プログラムに関する記事「トップガンズ」が原案となっている。

今回訴えを起こしたのは、ヨネイ氏の遺族である妻、ショシュさんと息子のユバルさん。映画の続編は著作権を無視して製作されたとして、6日付けでカリフォルニア州の連邦地裁に訴状を提出し、賠償金と配給差し止めを求めた。

なお、ヨネイ氏はイスラエル生まれの作家で、トップガンの後に「”NO MARGIN FOR ERROR”:イスラエル空軍の形成」と題した本も執筆している。訴えを起こした遺族らは、現在イスラエルに暮らしている。

訴状では「アイコンとなった1986年の映画は、パラマウントがエフド・ヨネイの記事出版直後に映画化に関する独占権を取得したところから始まった。実際、1986年版の映画には正式にクレジット表記がされ、同記事が原案であることは広く知られている」と、オリジナル版では正式な権利処理が行われたことに言及。その上で、今回の続編については、遺族が著作権の期限切れを通知する書簡を送ったにも関わらずパラマウントがこれを「意図的に」無視し「法律を嘲った」と主張した。

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訴状によると、パラマウントは1983年のヨネイ氏の記事出版後、映画化に関する権利を取得。権利は2020年1月24日付けで期限切れとなっており、遺族は2018年の時点でその旨パラマウントに通知したが、パラマウントは続編のための権利再取得手続きをしなかったという。

続編は権利の期限切れの後に完成したものだと遺族は主張。「2022年の続編は明らかに記事から派生したものであるにも関わらず、米国の版権がヨネイ家に戻る2020年1月24日を過ぎてもパラマウントは意図的に映画化や付随する権利の再取得手続きを怠った」とした。

訴訟の第一報を報じたハリウッド・リポーターによると、パラマウント側は、続編は権利が期限切れとなる前に完成していたと主張。遺族の訴えについて「根拠のない主張にすぎず、我々は全力で戦う」と徹底抗戦の構えを見せた。