学長辞任騒動の反ユダヤ主義大学公聴会、SNLがコントにして空振り

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米NBCのコメディ番組「サタデー・ナイト・ライブ」(SNL)では、9日放送のオープニングで、名門大学の学長を辞任へと追い込んだキャンパス内での反ユダヤ主義の対応をめぐる議会公聴会をネタに取り上げた。今週最も注目を集めたニュースのコントだったが、ネットでは「最悪」との声が上がっている。

コントでは、今年10月にキャストに加わったクロエ・トロースト演じる下院共和党のナンバー4、エリス・ステファニク議員が、ハーバード大学、ペンシルベニア大学、マサチューセッツ工科大学の学長らを問い詰める場面から始まる。

「ビリー・アイクナーのようにここにいる女性たちに質問を叫びます。反ユダヤ主義か、イエスかノーか!」「ユダヤ人のジェノサイドを求めるのは行動規範に反するか」と金切り声で叫ぶトローストに、学長役らは「文脈による」と述べるなど、実際の公聴会と同様にストレートな回答を避けた。

途中、「イエスと答えなければ、私を良く見せることになる。それって非常に難しいことなの」「この公聴会では私が勝ったってこと?誰か私をつねってくれない」といったセリフや「キャンパスにヘイトスピーチの居場所はない。ヘイトスピーチは議会とイーロン・マスクのツイッター、私の寄付者とのプライベートディナー、親愛なるドナルド・トランプの公のスピーチのもの」とステファニク議員を揶揄するネタも盛り込まれた。

後半でキーナン・トンプソンが、オンライン校の学長役で「どんなことにもイエスを答える用意があります」と申し出て笑いを誘ったが、それ以外は盛り上がりにかけるスキットとなった。

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ネットには「言っちゃ悪いけど、2023年で最悪のオープニングだ」「SNLありがとう。私が生涯民主党支持ではなくなったことに気づかせてくれた」「ステファニクを演じたあの金切り声の女性は、私を共和党に同情させることになった」などのコメントが寄せられている。

超党派で学長に対する非難の声が上がる中、視聴者の意見を読み違えているといった指摘も上がった。

「SNL公聴会に対するスタンスが、ほとんどの人と全く逆だと言える。SNLは学長たちをヒーローとして、ステファクを悪者として描いている」

コントが放送されたのは、答弁に対する非難を受けてペンシルベニア大学のエリザベス・マギル学長が辞任を発表した数時間後だった。

5日に開かれた公聴会で「ユダヤ人のジェノサイドを求めるのは大学のルールや行動規範に違反するか」と問われたマギル氏は「そのスピーチが行動に変わると、それは嫌がらせになる可能性がある」「文脈による」と述べるなど、明確な回答を避けた。

公聴会後、ストーン・リッジ・アセット・マネジメントの最高経営責任者で卒業生のロス・スティーブンス氏は、弁護士を通じた書簡で「キャンパスにおける反ユダヤ主義の大学のスタンスに愕然とした」とし、1億ドルの寄付を撤回する意向を伝えていた。

8日には、70名を超える議員が連盟で各大学側に宛てた書簡で、「学長の解任」と「ユダヤ人とイスラエル人の学生、教師、教授のキャンパスにおける安全を確保する実行可能な計画」を提示するよう求めた。

ステファニク議員は9日、X(旧ツイッター)に「1つがダウンした。あと2つだ」と投稿。母校ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学のトップの責任も追及する姿勢を示した。