「中台の政治的緊張」が引き金か、加州教会銃乱射事件 ヘイトクライムで捜査

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カリフォルニア州南部で15日、男が教会に押し入り、銃を乱射。1人が死亡、5人が負傷する事件が発生した。捜査当局は事件に関連し、ラスベガス在住のディビッド・チョウ(David Chou)(68)を逮捕。殺人罪および殺人未遂罪で起訴した。

NBCニュースによると、連邦捜査局ロサンゼルス支局のクリスティー・ジョンソン副長官は16日の会見で、ヘイトクライムとして捜査を開始したと発表。罪状が追加される可能性を示した。

オレンジ郡保安官事務所のドン・バーンズ保安官は、事件について「政治的動機に基づいたヘイトクライム」だと指摘。中国出身でアメリカ国籍を持つチョウ氏が、「中国と台湾間の政治的緊張に腹を立てた」と説明した。

台湾人を狙った犯行

事件は15日午後1時半ごろ、カリフォルニア州南部にあるアナハイムから約30キロ離れたリタイアメント・コミュニティ、ラグーナ・ウッズにある「アーバイン台湾長老派教会」(Irvine Taiwanese Presbyterian Church)で起きた。

死亡したのは、ジョン・チェン医師(53)。教会に押し入ったチョウ被告に突進し、武器を取り上げようとして撃たれた。

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事件発生時、建物には約40人がいた。負傷者の年齢は、66歳から92歳におよび、大半はアジア系だった。1人は軽傷、4人は重傷を負った。

バーンズ保安官の説明によると、チョウ被告は、非常口をチェーンで固定し、接着剤を使ってロックが効かないようにして、犯行に及んだ。チェン氏が突進したほか、牧師や参列者らが、椅子を投げて抵抗。電気の延長コードで被告の体を拘束したことで、被害の拡大を抑えた。バーンズ氏は、救出のため、自らを犠牲にしたチェン氏や牧師らを「ヒーロー」とたたえた。チェン氏は、2人の子どもがいた。

現場からは、手榴弾のような爆発物や、武器が入った複数のバッグが発見された。半自動拳銃が2丁回収されたが、これらはチョウ被告が、2015年から2017年にラスベガスで購入したものだという。

チョウ被告は、台湾人のコミュニティに個人的な恨みを抱いていたと伝えられている。ただし、事件が起きた教会や参列者との関係は確認されていないという。