テック企業幹部サンフランシスコ路上刺殺事件、顔見知りの同業者の男を逮捕

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テック企業の幹部、ボブ・リー(43)さんがサンフランシスコの路上で刺され死亡した事件で、サンフランシスコ警察は13日、会見を開き、エメリービル在住の二マ・モメ二(Nima Momeni)容疑者(38)を逮捕したと明らかにした。

モメ二容疑者は、ITコンサルタントとして活動し、サンフランシスコで企業向けにITサービスを提供するExpand IT社を運営していた。

警察は会見で、二人は顔見知りだったと説明。一方、現時点で証拠など事件の詳細については明らかにできないとした。13日の朝、捜査課が複数の令状を執行し、拘束した。

ローカルメディア「ミッション・ローカル」が情報筋の話しとして伝えたところによると、事件の日、二人はダウンタウンをドライブしていた。車はモネ二容疑者の名義だった。捜査当局者は、車中でなんらかのいさかいがあり、リーさんが下車した後も対立が続いていた可能性があるとみているという。犯行に使用された刃物は、事件現場からほど近い場所で回収された。

リーさんは今月4日の未明にリンコン・ヒルエリアの路上で刺され、搬送先の病院で死亡した。最近マイアミに引っ越しており、サンフランシスコにはハイテク企業のカンファレンスのために訪れていた。優れた開発者として知られ、スクエア(現在のブロック)で最初の最高技術責任者を務め、2013年に個人間送金アプリ「Cash App(元Square Cash)」を開発。2021年からMobileCoinの最高プロダクト責任者を務めていた。

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デイリーメールが入手した住居ビルに設置された監視カメラの映像には、刺されたリーさんが、建物の入り口付近で倒れうずくまる姿や、通りがかりの車に、力を振り絞って助けを求める様子が撮影されていた。

事件後、無差別強盗による犯行との憶測が流れ、治安悪化が叫ばれるサンフランシスコの市政、地区検察の対応に非難の声が集中した。

ツイッターやテスラのCEO、イーロン・マスク氏は事件の翌日、「非常に残念だ。知人でひどい暴行を受けた人がたくさんいる」とツイート。「サンフランシスコの暴力犯罪は、恐ろしく、加害者が捕まったとしても、すぐに解放されることが多い」と刑事司法制度の問題に言及。サンフランシスコ地区検察のブルック・ジェンキンス検事に対して、「市は、暴力犯罪を繰り返す犯人を投獄するために、強力な措置を講じているのだろうか?」と疑問を投げかけた。

二マ・モメ二容疑者とは?

LinkedInに記された内容によると、モメ二容疑者はペルシャ語と英語のバイリンガルで、レイニーカレッジ、カリフォルニア大学バークレー校で学んだ後、サウスベイにあるMarfic社で2005年から2年間ネットワークエンジニアを務めた。その後、Coast Range IT社で ITコンサルタントを務め、ITプロバイダーの下請け業を経て2010年4月にExpand IT社を創設した。同社について、地元のIT系のプロフェッショナルグループであると説明。ヘルスケア、金融、スタートアップ、テクノロジー、製造業、サービス業などさまざまな業種に、ITソリューションやサイバーセキュリティなどのサービスを提供すると記している。現在Expand IT社のホームページは閲覧が不可能になっている。