マンハッタンの「ルーズベルトホテル」閉館。1世紀の歴史に幕

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1924年に開業したマンハッタンの老舗ホテル「ルーズベルト・ホテル」(The Roosevelt Hotel)が10月31日に閉館することが分かった。

ホテルを所有するパキスタン国際航空(Pakistan International Airlines)は声明で「未曽有の環境とCOVID-19による不確定な影響が継続するため、ホテルを閉館するという難しい決断を下した」と発表した。

3月の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、同ホテルは約500人の従業員を一時解雇していた。従業員は9日、閉館の通知を受け取ったという。ある従業員は「同ホテルは1月に売却されており、そのことを従業員に知らせていなかった。組合との契約違反だ」と述べ、「パンデミックによる閉館は言い訳」とNBCニューヨークに語っている

ロイターによると、パンデミックが始まった際、パキスタン国際航空の累積赤字は40億ドルを超え、既に財政難に陥っていたという。5月22日に起きた航空機墜落事故では、99人の乗客乗員のうち、97名が死亡している。同社の安全対策の不備が明らかになり、米国連邦航空局(FAA)など規制当局は、飛行禁止を検討していたという。

ルーズベルト・ホテル
mashupNY

セオドア・ルーズベルト大統領にちなんで名付けられたルーズベルト・ホテルは、ジョージ・ブラウン・ポスト&サン(George B. Post & Son)が設計を手掛け、1924年9月に開業した。ガイ・ロンバード(Guy Lombardo)やローレンス・ウェルク(Lawrence Welk)などのミュージシャンが演奏を行ってきた。
映画『フレンチ・コネクション』や『ウォール・ストリート』『メイド・イン・マンハッタン』、ドラマ『マッドメン』などのロケ地として使用されている。

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ホテルの廃業相次ぐ

これまでにタイムズスクエアヒルトン(Times Square Hilton)やヘラルドスクエアのコートヤード・バイ・マリオット(the Courtyard by Marriott)、Wホテル(W Hotel)、オムニ・バークシャー・プレイス・ホテル(Omni Berkshire Place)などが閉館を発表するなど、観光客の減少による廃業が相次いでいる。

データ会社のSTRによると、市内のホテルの稼働率は4月初旬、19.6%まで低下したという。
現在は回復に向かっているものの、WSJはアナリストやホテルのオーナーの話として、2万5,000室(全体の20%に相当)が閉鎖される可能性があると報じている。