アジア歴訪中の米国のナンシー・ペロシ下院議長率いる議員団は2日夜、台湾の台北松山空港に到着した。副大統領に次ぐNo.3のポジションにある下院議長が台湾を訪れるのは、1997年に訪問したニュート・ギングリッチ氏以来25年ぶり。

訪問に先立ち、中国側は、軍隊は「黙って見ていない」と強く牽制。中国外務省の趙立堅報道官は、米政府No.3のペロシ氏の訪問は「とんでもない政治的影響をもたらす」と強い反発を示した。

米国内では賛否の声が上がっている。

ニューヨークタイムズのコラムニストで、ピューリッツァー賞を3度受賞しているトーマス・フリードマンは1日に掲載された論説で、ペロシ氏の訪台は「無謀かつ危険、無責任」と非難。訪問によって、台湾の安全は向上しないどころか、中国の軍事的対応を招き、米国をロシアと中国の核武装国2国との間接的な紛争に同時に突入させる恐れがあると指摘した。

また、ウクライナ戦争で存亡の危機に直面するヨーロッパの同盟諸国が、台湾をめぐる米中の紛争に参加すると考えているとすれば、読み誤りであるとも主張。中国は25年前の弱い国ではなく、「2つの超大国を同時に相手として、2面戦争を起こしてはならないのは、地政学の基礎だ」と批判した。

一方議員の間では、上院の共和党トップのミッチ・マコーネル議員ら25名の共和党上院議員が、ペロシ氏の訪問を支持すると表明するなど、超党派の支持が示された。

ペロシ氏本人は2日、ワシントンポスト紙にオピニオンを発表。訪問の目的を説明した。

冒頭、43年前に制定された「米国のアジア太平洋における外交政策の最重要の柱」としての台湾関係法に言及。「平和手段以外によって台湾の将来を決定しようとする試みは….西太平洋地域の平和と安全への脅威であり、米国にとって重大な関心事と考える」を引用し、米国は台湾の防衛を支援することを厳粛に誓ったとした上で、米国はこの誓いを思い出さなければならないと主張した。

中国の昨今の台湾をめぐる軍事的行動から、米国防総省は「(中国人民解放軍が)台湾を武力で中華人民共和国に統一する万一の事態に備えている可能性が高い」と結論づけていると指摘しつつ、中国が攻撃を加速する中において、米国議員団の今回の訪問は、「米国が、自国とその自由を守るため、民主主義のパートナーである台湾を支持することを明確に示す声明」であると述べた。

台湾側との話し合いの焦点は「台湾に対する支持を再確認し、自由で開かれたインド太平洋を前進させるといった共通の利益を促進する」ことになるとした。

さらに香港やチベット、ウイグルにおける政治的自由や人権の弾圧にも言及。一国二制度の約束は破棄されたとし、米台の連帯が台湾に暮らす2,300万人だけでなく、中国に抑圧される何百万もの人々にとって今日ほど重要な日はないと強調した。

タイミングについて、世界が独裁主義と民主主義の選択に直面している最中の旅行であり、「米国と同盟国は、独裁者に絶対に屈しないことを明確に示すことが不可欠」だと説明。台湾を訪問することで、「われわれの民主主義に対するコミットメントを称え、台湾の自由、さらにすべての民主主義が尊重されなければならないことを再確認する」と述べた。

ペロシ氏は蔡英文総統と3日午前に会談する予定と伝えられている。