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ニューヨーク市 薬物投与施設の試験導入へ

ニューヨークのデブラシオ市長は、ヘロインやオピオイドなどの中毒者の薬物過剰摂取による死亡を防ぐため、市内に薬物投与施設の設置を推進する意向を明らかにした。

市長は、ニューヨーク市保健精神衛生局による147ページに及およぶ調査レポートをもとに、「世界中の同様の取り組みを詳細に調査し、公衆衛生や公衆安全の専門家の見解を注意深く検討した結果、我々はオーバードース・プリベンション・センター(過剰摂取防止センター)が命を救い、恐ろしい中毒を克服する必要のある市民へ、より多くの治療を施すことができると確信している」と発表した。

施設は一般的に「Supervised injection site」や「Safe-injection sites」と呼ばれ、カナダやヨーロッパなど、世界に約100箇所が存在する。米国では、同様の施設がなく、実現するとニューヨークが米国初となる。施設では、医療専門家の監督のもと、麻薬中毒者が自身が所持する薬物を投与することが許可されている。その他、衛生管理された注射針などの投与器具の提供や、カウンセリングを提供する施設も存在する。

ニューヨークでは、薬物の過剰摂取による死亡が急増しており、2017年は推定で1,441人が死亡している。2010年と比較すると、死亡者数は2.5倍となる。

計画では、一年間の試験導入からスタートする予定で、設置場所として、現在、シリンジ・エクスチェンジ・プログラムと呼ばれる、伝染病の防止等を目的に消毒済みの注射器や針を提供している4箇所が挙げられている。なお、パイロット・プログラムの施設は、非営利調査機関が運営し、市の財源は使用しないという。

  • ゴワナス(ブルックリン)
  • ミッドタウンウエスト(マンハッタン)
  • ワシントンハイツ(マンハッタン)
  • ロングウッド(ブロンクス)

調査レポートによると、薬物投与施設を4箇所設置することで、67〜130名の過剰摂取による死亡を防ぐことが可能で、また、最大で700万ドルの公衆衛生コストの削減につながると試算している。

薬物投与施設の試験導入を実現するには、ニューヨーク州保健局による承認や、施設の利用者と運営者が起訴を免れるという州検察官による同意、設置地域の代議士による支援が必要だという。

米国では、ニューヨーク市の他、フィラデルフィアとサンフランシスコにおいて、同様の施設の設置が検討されている。

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