NY市で家賃ストライキキャンペーン。調査では44%が家賃の支払い困難

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ニューヨーク市で1日、借主の擁護団体らが中心となり、家賃支払いの中止を求める抗議活動が行われた。参加者は、家や車に横断幕やプラカードを掲げたほか、オンラインでは#CancelRentのハッシュタグを付けたキャンペーンを展開。同様の抗議活動は、ロサンゼルスなどの都市でも開催された。

ブロンクスおよびクイーンズ地区から選出されたアレクサンドリア・オカシオ゠コルテス下院議員は、ツイッターでキャンペーンへの支持を表明。家賃の支払いに関して、連邦政府の対応が必要だと訴えた。さらに、ミネソタ州のイルハン・オマール(Ilhan Omar)下院議員が提出した「家賃と住宅ローンのキャンセル法案」を支持すると述べた。

市民の44%、5月の家賃支払いが困難

現在ニューヨークでは、新型コロナウイルスに伴う自宅待機や事業閉鎖の影響により、失業者が急増。州労働局によると3月中旬以降、新規失業保険の申請件数は、合計で160万件に達した。

不動産会社PropertyNestの調査では、ニューヨーク市民の55.7%は通常通り5月の家賃を支払うが、約44%は期日通りの支払いが難しいと回答した。これらには、支払うお金がない(11%)や、政府からの現金給付を受け取るまで支払いを待つ(10.8%)人が含まれる。

ニューヨークタイムズは、家賃や住宅ローンの支払い停止を実現するには、連邦政府による住宅市場や金融市場への全面的な介入が必要と指摘。これらは違憲にあたり、実現の可能性は低いと報じている。

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さらに同紙は、レントストライキのキャンペーンの目的について、家賃の支払い停止ではなく、2008年の金融危機後に発生した、社会格差への抗議活動「オキュパイ・ウォール・ストリート」(Occupy Wall Street)に類似したムーブメントに火をつけることだと解説。
ニューヨークの住宅擁護団体「全ての人に住宅の公正を」(Housing Justice for All)のキャンペーン・コーディネーター、Cea Weaver氏は「住宅市場の真の変革のために、人々が立ち上がろうとしている瞬間だ。」とタイムズに語っている。

25,000人の家主を代表するレントスタビタイゼーション協会(Rent Stabilization Association)のジョセフ・ストラスバーグ(Joseph Strasburg)会長は、レントストライキは、経済的かつ住宅のパンデミックを招くだけだと非難した。

gothamistによると、イーストヴィレッジの住民団体は、家主のNAL Managementに家賃支払い猶予に関する協議を申し出た。しかし家主は、州の行政命令の解除後に居住者を提訴し、借主側の信用(レント・クレジット)を損なわせる権利があると回答した。団体交渉を拒否したという。

3カ月間は立ち退き禁止

ニューヨーク州のクオモ知事は3月末、行政命令により3カ月間の住宅ローンの免除を決定した。しかし、賃貸に関しては、家主が90日間立ち退きを要求できないとするに止めた。

ニューヨーク州のマイケル・ギアナリス(Michael Gianaris)州議会上院議員は3月末、借主および住宅ローン支払いを一時停止する法案を州議会に提出。ギアナリス議員は、クオモ州知事による行政命令で、同様の措置が実現できると主張している。

家賃に関して、クオモ氏は30日の会見で、「払える人は払うべきだ。」と述べ、居住者は、行政命令によって住民は6月20日まで立ち退きを命じられないと語った。それ以上の支援は行わないと明言しており、住民保護については期限終了後に、再び検討すると述べている。
なお、24日の会見では、ニューヨーク市のデブラシオ市長が要求するレントコントロール物件の家賃上昇の凍結「レント・フリーズ」に関して、クオモ氏は現在検討中と回答している。