NY市 地下鉄サーフィン撲滅キャンペーンを始動

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新学年の開始を目前に控え、ニューヨーク市では「サブウェイ(地下鉄)・サーフィン」撲滅に向けた部局横断的な認知向上キャンペーンを開始した。

サブウェイ・サーフィンとは、走行中の地下鉄の屋根に乗ったり、外側にぶらさがる危険行為。近年、若者が高架を走行中の列車でサブウェイ・サーフィンをして落下したり、頭部を強く打ち付けるなどして死亡する事故が相次いでいる。市の発表によると、今年はすでに5人の死者が出ており、2018年から2022年の合計死者数と並んだ。

死亡事故以外にも、ニューヨーク市警察が今年取り締まったサブウェイ・サーファーは87人にのぼり、前年の3倍近くに到達した。今年1月から6月までに地下鉄を運営するMTAが記録した件数は、450件に達しているという。実際に地下鉄に乗車していると、中高生ほどの少年らが集団で電車のつなぎ目に集まり、登っていく場面に遭遇することも珍しくない。SNSで注目を集めるため、屋根で飛び跳ねたり、ダンスをしたりする姿を撮影し、TikTokなどに投稿しているケースもある。

キャンペーンでは「Subway Surfing Kills – Ride Inside, Stay Alive(地下鉄サーフィンは命を落とす – 中に乗って、生き延びろ)」のスローガンのもと、同年代の若者を起用し、多様なチャネルを通じて思いとどまるよう呼びかける。

学生が録音したアナウンスを駅構内で放送し、学生が作成したグラフィックやアニメーション、ポスター、横断幕などを各駅に設置する。プランナーや筆記用具、ノート、付箋などの学校の備品も活用するほか、TikTokやインスタグラム、Youtubeへの投稿、インフルエンサーとのコラボも実施する。さらにスローガン入りのメトロカードも配布するという。

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MTAのYouTubeオフィシャルアカウントには、学生らを起用したキャンペーン動画がリリースされた。

元凶はSNS

5日、地下鉄サーフィンの多発地帯とされる7番線33rd st駅で、ニューヨーク市のエリック・アダムス市長を含む関係各局のトップが集まり会見を開いた。

その中で、MTAのジャノ・リーバーCEOは「最大のインパクトは、オンラインからだ」と述べた上で、「グーグルやメタ、スナップチャット、TikTokその他と、無謀で危険な行為のビデオや写真をソーシャルメディアからなくすだけでなく、コンテンツのシェアのやる気を積極的にそぐために協力している」と説明した。続けて、各企業がサブウェイ・サーフィンをしているコンテンツを特定して削除するアルゴリズムを構築していると述べたほか、2,600本の動画や画像が削除されたと語った。

アダムス市長は、無謀な行為をするのは若さの一部だとした上で、昔と今の違いは、若い頃の自分がやったことの影響は半径一ブロックに留まっていたが、今の若者がやることは3,500万人に拡散され、模倣されると指摘。「若さゆえの探求や無邪気さは、ソーシャルメディアの過剰な拡散のために、われわれの子供たちに敵対している」と主張した。「われわれはこれに気がつくべきだ。ソーシャルメディアがいかに子供の行動規範に影響するのか、全国的な呼びかけが必要だ」と語った。

元警官のアダムス市長は、SNSのネガティブな影響を繰り返し主張している。就任後間もない昨年2月、ドリルミュージックのラッパーらの射殺事件が相次ぐなか、ソーシャルメディア各社に銃暴力を誇示する音楽の規制を求める意向を示した。