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「人種差別」と批判。英才教育プログラムを見直し NY市

ニューヨークのデブラシオ市長は8日、才能のある子供たちを対象とした特別教育プログラム「ギフテッド・アンド・タレンティッド・プログラム」を見直し、新たに「Brilliant NYC」を導入する計画を発表した。

ギフテッド・プログラムでは毎年、テストで優秀な成績を収めた幼稚園児2,500人が受講を許可されてきた。テストは既に停止されており、現在の生徒が、プログラムの最後の受講者となる。

市のプログラムは、受講する生徒に人種的な偏りがあることから、米国で最も「人種隔離的な制度」と批判を受けていた。

100万人以上の生徒が在籍するニューヨークの公立学校のシステムは、黒人とラテン系が70%を占めるが、ギフテッド・プログラムを受講する1万6,000人の生徒では、75%が白人とアジア人で構成されていた。
ニューヨークタイムズによると、多くの家庭は家庭教師などを雇い、ギフテッド・プログラムに合格させるための試験勉強をさせているという。

デブラシオ市長は会見で「1回のテストで、4歳児をジャッジする時代は終り」と説明。「Brilliant NYCでは、少数の子供ではなく、数万人の子供たちに”加速学習”を提供する」と述べた。「すべての子供たちは潜在能力を最大限に発揮する価値がある。新しい公平なモデルは、彼らにチャンスを与える」と語った。

今後は、約4,000人の幼稚園の教員を対象にトレーニングを実施するほか、提供する加速学習クラスの数を現在の80から800へと拡大する。

プログラムの廃止に対し、一部の家庭からは非難の声が上がっている。進学校がある地区の親の代表者は、市長の決定を「政治的スタント」と非難。次期市長に課題を残すだけだとタイムズに語っている。
アジア系のジョン・リュー州議会上院議員(民主党・クイーンズ)も「欠くことのできないプログラム」だと継続の必要性を主張した。

民主党の次期市長候補エリック・アダムス(Eric Adams)ブルックリン区長は、ギフテッド・プログラムの継続を支持しており、廃止ではなく、低所得地域の住民への拡大を提案している。タイムズによると黒人とラテン系の一部の家庭でも支持する声があるという。

デブラシオ市長は過去に、スタイベサント高校など進学校の入学試験制度の廃止を提案しているが、アジア系の家庭を中心に、低所得層のアジア人に対する差別だと強い反発を招き、失敗に終わっている
進学校の試験制度は、1971年より州の管理下にある。試験廃止の法案は、州議会下院の教育委員会で同意を得られず、議場での審議に至らなかった。

なおギフティッド・プログラムと通常のクラスが完全に分離されているのは、全米の学区でわずか10%だという。

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