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市民以外に地方選挙権 NY市議会で法案可決

ニューヨーク市議会は9日、市民以外に地方選挙権を付与する法案を、賛成多数(賛成33、反対14)で可決した。

対象は、永住権(グリーンカード)もしくは労働許可証を保持し、30日間以上ニューヨーク市に居住する外国人。現在の対象者数は約80.8万人で、このうち13万人がドミニカ共和国、11.8万人が、中国出身者だという。市長選および市政監督官、区長、市会議員を選出する選挙で、投票することができる。州選挙または連邦選挙では、投票できない。2023年1月9日以降の地方選から、投票が可能となる。

法案を提出したのは、ドミニカ共和国出身のイェダニス・ロドリゲス(Ydanis Rodriguez)市議会議員(民主・マンハッタン)。ロドリゲス議員は、1983年に永住権を取得して移住。皿洗いやタクシー運転手などの職業を経て、2000年に市民権を取得し、議員となった。

ロドリゲス議員は昨年、法案のねらいについて、「グリーンカードと労働許可証を持つ移民は、地元の代表者を選ぶに値する。住民としての権利を拡大するものだ。彼らに選挙権を付与することは、サービスが行き届いていないコミュニティに大きな影響を与える」と説明していた。

なお、法案が成立した場合、外国人に地方選挙権を与える自治体としては、米国最大となる。

反対派の意見は?

一部の法律専門家は、市民以外の地方選挙権の付与について、市議会に権限がないと主張している。このほかにも、市民権取得の妨げになる、黒人の権利を弱体化させるなど、反対の声が上がっている。

ニューヨークタイムズによると、現職のデブラシオ市長は、地方選挙権を付与する権限は、州にあると考えているが、拒否権は行使しない意向だという。市長が30日以内に署名しない場合、法案は自動的に成立する。

来年1月から新市長に就任するエリック・アダムス氏は、永住権保持者の選挙権を支持しているが、市議会の権限の範囲について、疑問を呈しているという。報道官は、就任後に法案を審査する計画だと明かした。

法案は、ニューヨーク州の法律に違反しているとして、訴訟が提起される可能性があるとタイムズは報じている。

外国人の参政権に反対する団体「Americans for Citizen Voting」は、移民は歓迎するとしつつ、合法的に滞在する住民が、市民権を取得することの妨げになると主張している。

反対票を投じたローリー・カンボ(Laurie Cumbo)市議会議員(民主・ブルックリン)は、法案は「権力のダイナミクスを、大幅に変える」と主張。黒人の有権者に及ぼす影響に、懸念を示した。さらに、ラテン系の有権者が、共和党に投票する可能性があるとの見方を示した。

ニューヨーク市以外では、メリーランド州やバーモント州の一部の都市、サンフランシスコ(地元教育委員会の選挙権)などで、外国人の参政権を認めている。
一方、コロラド州やフロリダ州、アラバマ州では昨年、投票権を市民に限定すると規定する法律が、成立している。

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