トランプ氏「魔女狩り」と反発、NY州司法長官が一族を提訴

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ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は21日、過去10年の間、金融機関を欺くために、資産価格を不当に高く評価するなどの不正行為を繰返したとして、トランプ前大統領とその子供たち、トランプ・オーガニゼーションの幹部らを提訴したことを明らかにした。

トランプ氏は捜査に関連して、先月、証言録取のためにマンハッタンの司法長官事務所を訪れたが、自己負罪拒否権を主張して、質問への回答を拒否していた。

ジェームズ長官は会見で、トランプ氏は、長男ジュニア氏と長女イバンカ氏、次男エリック氏、トランプ・オーガニゼーションの幹部の助力を得て、資産価格を何十億ドルも不当に高く評価し、金融機関から有利な条件の融資や保険、または税制上の優遇措置を得たと主張。2011年から2021年の間に、200件を超える虚偽の評価が作成されたとした。

制裁として、トランプ氏と子供らがニューヨーク州で同様のビジネスの経営陣に加わることを恒久的に禁止するほか、今後5年間、トランプ氏とオーガニゼーションに商業用不動産の買収を禁じることや、州内の金融機関からの融資を禁止するなどの措置を求めるとした。さらに、詐欺行為によって得た不当な収益は少なくとも2億5,000万ドル(360億円)に上るとし、返済を要求するとした。

不正行為は23件を超えるプロパティに関して行われていたと説明。トランプタワーでは、トランプ氏が所有する3フロアの価値を、実際よりも3倍の広さに基づいて評価。坪単価も「馬鹿げた」価格だったとした。住居ビル「トランプ・パークアヴェニュー」について、トランプ氏が報告した物件価値は、建物内の12部屋の家賃価格が行政によって制限されていることが考慮されておらず、事業計画のために算出した内部評価とも著しくかけ離れていたとも指摘した。2010年の外部の金融機関の評価では、これら12物件の評価額は75万ドルだったが、2011年と2012年の財務報告書では、一般的な市場価格をもとに算出され、5,000万ドルと報告していた。

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借地権のみを所有するウォール街にある「40 Wall Street」に経つ商業ビルについては、2012年の外部による鑑定では、資産価値は2億2,000万ドルだったが、2013年の財務報告書では約2倍の5億3,000万ドルと報告していた。トランプオーガニゼーションは2015年に、建物に関するローンを、同社の最高財務責任者だったワイゼルバーグ氏の息子が勤務していたラダーキャピタルに切り替えていた。税金詐欺を働いたとしてマンハッタン地検から起訴されたワイゼルバーグ氏は、先月、司法取引に応じ、有罪答弁を行っている。

このほか、7月にFBIの手入れを受けたフロリダ州にある住居兼リゾート施設「マールアラーゴ」は、国定歴史建造物に指定され開発が制限されているにも関わらず、制限なく住居用開発および販売できる前提をもとに、資産価格を算出していた。

今回のケースは民事裁判だが、ジェームズ長官は、一連の問題を司法省と内国歳入庁 (IRS)に照会するとも述べた。

発表後、トランプ氏は早速、Truth Socialのアカウントを更新。「人種差別主義者の司法長官によるもう一つの魔女狩り」と罵りつつ、11月に控える選挙で、共和党の対抗馬に追い込まれているからだと指摘。ジェームズ長官の支持率の低さを見るまで、提訴されるとも思っていなかったと述べるなど、訴訟は人気回復を狙った政治パフォーマンスとの考えを示唆した。さらに、自分の監督のもとでニューヨーク市の犯罪や殺人が「大惨事」になっているにも関わらず、「トランプ逮捕」の声を利用して選挙キャンペーンを行った詐欺師だと非難した。