マンハッタン地検 トランプ氏の捜査順調、フォレンジック会計専門家に調査依頼

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マンハッタン地検は、トランプ氏およびトランプ氏の企業に対する犯罪捜査に関連し、不動産取引を精査するためにフォレンジック会計の専門家を雇ったことがわかった。ワシントンポスト紙が、事情に詳しい人物の話として報じた。

マンハッタン地検のサイラス・バンス・ジュニア検事長が2018年にスタートしたトランプ氏の犯罪捜査は、当初、2016年選挙活動中に支払われたとされるポルノ女優への口止め料に関するものだった。その後、範囲を拡大し、税金詐欺や保険詐欺、業務記録の改ざんにまで及んでいるとみられている。

バンス検事長が契約を結んだのは、首都ワシントンに本社を置くFTIコンサルティング。トランプ氏の不動産取引の異常性を調査し、利息や減税措置で有利な条件を得ることを目的とした、資産価値の不当な操作がなかったか、助言を得るものとみられる。

情報筋によると、FTIコンサルティングのアナリストは、大陪審の捜査で得られたトランプ氏の企業の銀行やローンの記録について、すでに審査を進めている。バンス検事長が、最終的にトランプ氏を起訴した場合、法廷証言を求める可能性もある。

バンス検事長は、昨年8月、トランプ氏が利用している会計事務所Mazars USAに対し8年分の納税記録などの提出を求めたが、トランプ氏は現職の大統領は刑事捜査の対象にならないと主張し、訴訟を起こした。納税記録の提出を巡る争いは、現在、最高裁判所に持ち込まれている。

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事情に詳しい人物によると、捜査は「順調に進展している」といい、最後は納税記録を得るのみと考えられている。

公認不正検査士協会のJason Zirkleは同紙に、民主党の検事長がFTIの専門家を雇ったことについて、外部を巻き込むことで、政治的動機に基づいたものとの批判をかわし、中立性を強調する狙いがあるだろうと指摘している。

トランプ氏はこれまで、納税記録の提出要求は政治的嫌がらせや悪意に基づくものだと批判している。

トランプ氏を刑事告発するには、法律を犯す意図があったことを証明しなければならず、専門家らは、内部目撃者による証言が必要になるだろうとみている。

バンス検事長が、これらの証人を確保しているかは不明。ニューヨークタイムズは今月11日、マンハッタン地検が過去数週間で、トランプ大統領に関係する銀行や保険ブローカーの従業員に聴取を行ったと報じている

聴取を受けたのは、ドイツ銀行と保険会社エーオンの従業員。検事は、ドイツ銀行の2人の従業員に、銀行の貸付の決定手続きについて聞き取りをした。これらの従業員はトランプ・オーガニゼーションを担当した銀行員ではなく、査定のエキスパートだという。

情報筋はワシントンポスト紙に、検事は新たに召喚状を出し、着実なペースで証人と面会を重ねていると話しているという。

マンハッタン地検と並行して、ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官は、トランプ氏の複数の物件について、投資やローンまたは税控除などで有利な条件を得るために、違法に資産価格を引き上げるなどした疑いで捜査を進めている。

マンハッタン地検と司法長官室の捜査対象のうち、少なくとも複数の取引やローンが重複しているとみられている。

ロバート・モラー特別検察官が率いたロシア捜査チームの一員だった、アンドリュー・ワイズマン氏は、ジェームズ司法長官の案件は民事の捜査だが、意図を証明することができれば刑事事件に変更されうると指摘している。