米最古の百貨店ロード&テイラー ファッション・レンタルサービス企業に売却へ

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ハドソン・ベイ・カンパニー(HBC)は28日、傘下の百貨店ロード・アンド・テイラー(Lord & Taylor)について、ファッション・レンタルサービスのスタートアップ、ル・トート(Le Tote)への売却が合意に達したと発表した。

発表によると、ル・トートは、ロード&テイラーのブランドとこれに関連する知的財産権を取得し、38店舗とデジタルチャネルの営業を引き継ぐ。

売却金額は合計1億ドル(105億円)で、HBCは、取引完了後にル・トートから7,500万ドルを、2年後に2,500万ドルを受け取るとしている。加えて、HBCはル・トートの株式と取締役会の2議席、および一定の少数株主権を得ると発表した。

また両社は、HBCがロード&テイラーに関連する不動産資産の所有権を引き続き保持することで合意。2021年以降にHBCが資産の再評価を行い、潜在的な再開発などの権利を有するとしている。一方で、少なくとも最初の3年間、HBCが賃料の支払いに経済的責任を負うとしている。

ル・トートは、2012年にサンフランシスコで創業したサブスクリプションモデルのオンライン衣料レンタル企業。会員は月額費用を払い、様々なブランドの洋服をレンタルできる。

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共同創業者のラケシュ・トンドン(Rakesh Tondon)氏は声明で「ル・トートの創業以来、小売の境界を押し拡げることを使命としてきた。」と述べ、「2世紀近くに渡って品質とスタイル、サービスを提供してきた名高いブランドである、ロード・アンド・テイラーとル・トートを一つにすることに楽しみにしている。この買収により、われわれは未来の小売を創造する旅を続けていく」と語った。

1826年にニューヨークにオープンしたロード&テイラーは、米国最古の百貨店として知られる。小売環境の悪化で、近年は店舗閉鎖などの縮小を余儀なくされている。今年1月には、100年以上営業を続けたマンハッタン5番街の旗艦店を閉鎖。建物をオフィスシェアのウィーワーク(WeWork)に売却した

拡大する衣料レンタル市場

小売が低迷する一方、レンタルサービスの市場は高い成長が期待されている。

Allied Market Researchは、世界における衣料品のオンラインレンタル事業は、2023年までに18億5,600万ドル(約2,000億円)に達すると予測。北米の消費者を中心にレンタルムーブメントが加速すると予測している。

今年初めにはアメリカン・イーグル・アウトフィッターズ(American Eagle)がレンタルサービスに参入した。アーバン・アウトフィッターズやバナナ・リパブリックも独自のレンタルサービスを開始する計画を発表している。

また、同サービスの主要プレーヤーである「レント・ザ・ランウェイ」(Rent the Runway)は、今年1億2,500万ドルを資金調達し、時価総額は10億ドルとなった。同社は今年5月、サンフランシスコに最大のフラッグシップ店をオープンしている。