米百貨店ロード&テイラー NY五番街の建物をWeWorkに売却へ

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macy’s(メイシーズ)やSears(シアーズ)などの大型店が店舗閉鎖計画を発表するなど、苦境にあえぐアメリカの小売業界。ニューヨークで100年近く親しまれてきた老舗デパートも例外ではないようだ。

24日(火)、米国最古のデパート、ロード・アンド・テイラー(Lord & Taylor)は、ランドマークでもある五番街のフラッグシップ店の建物をオフィスシェアスペース運営会社のWeWork(ウィー・ワーク)のジョイントベンチャーに8億5000万ドル(約930億円)で売却すると発表した。

ミッドタウンの38と39丁目の間に位置する67万6千平方フィートの店舗は、2018年のホリデーシーズンまで全フロアで営業する。その後、売り場面積を4分の1以下に縮小し、下層階を賃貸して、営業を続けるという。
ロード&テイラーが使用する階以外は、WeWorkのグローバル本社と、シェアオフィススペースとして使用される。

NY名物ともいえるホリデーシーズンのウィンドウディスプレイは、2018年までは、引き続き開催すると広報担当は発表した。
ロード&テイラーは、ホリデーウィンドウのパイオニア的な存在でもある。1938年に開催を始めて以来、マンハッタンのクリスマスシーズンを明るく灯し続けてきた。

昨年のホリディウィンドウの様子

ホリディウィンドウ
©mashupNY

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成長し続けるWeWork

今回購入を発表したWeWorkは、ミゲル・マッケルビー(Miguel McKelvey)さん、アダム・ニューマン(Adam Neumann)さん、レベッカ・ニューマン(Rebekah Neumann)さんの3人が、2010年にマンハッタンのチェルシーで創業した。

WeWork
©mashupNY

スモールビジネスのスタートアップ向けの長期契約不要なオフィススペースの貸し出しや、「コワーキング」(Coworking)用のシェアオフィスビジネスが大ヒット。セミナーや交流会のイベントを開催し、働く人々のビジネスのマッチングも行っている。
今年、WeWorkは、中国のファンド、ホニー・キャピタル(Hony Capital、弘毅投資)から5億ドルを、またソフトバンクグループから44億ドルの巨額な出資を受けており、資産を拡大している。
現在、ニューヨークには44拠点あり、東京にも進出。56都市を含む237のロケーションで展開している。

老舗デパート、ロード&テイラー

現在、カナダを拠点とするハドソンズ・ベイ(Hudson’s Bay)がオーナーを務めるロード&テイラーは、1826年がサミュエル・ロード(Samuel Lord)氏が創業した米国最古の高級百貨店。五番街の旗艦店は1914年の2月にオープンした。
ハドソンズ・ベイは、2008年に同百貨店の買収を発表している。

ロード&テイラー
©mashupNY

ハドソンズ・ベイは、2013年にサックス・フィフス・アベニュー(Saks Fifth Avenue)を買収しているが、こちらもeコマースの台頭により、経営不振に苦しんでいる。
ニューヨークタイムズによると、ハドソンズ・ベイの株価は過去1年間で、3分の1近く下落。また、小売店での売上高も上半期約1%の減少となっているという。
株主からは、サックスの旗艦店を含む不動産物件(評価額は37億ドルとされている)を売却するようプレッシャーをかけられていた。
株主の1社、Land and Buildings Investment Managementは、サックスの店をホテルデベロッパーや、アマゾンのための販売スペースとするよう、同社に働きかけていたという。
20(金)、同社は2015年にハドソンズ・ベイのCEOに就任したジェラルド・L・ストーチ氏(Gerald L. Storch)の辞任を発表。
本日の発表では、ロード&テイラーの建物の売却の他、カナダの百貨店ハドソンズ・ベイなどの小売スペースの一部をWeWorkにリースする契約が含まれている。