パーラメント・テクノロジーズは17日、ソーシャルネットワーキングサービス「パーラー」をラッパーのカニエ・ウエスト(Ye)に売却することで大筋合意に至ったと発表した。

同社は声明で「Yeは、音楽とアパレルで史上最もリッチな黒人男性になった。広範囲におよぶ才能を活かして、最近のビッグテックの検閲に対して大胆な態度でのぞみ、真にキャンセルできない環境を創造する戦いを主導している」と述べ、「パーラメントは彼が目標を達成する手助けをすることを光栄に思う」と発表した。

同社のジョージ・ファーマー最高経営責任者は、FOXビジネスのインタビューに「パーラーはブランドを拡大するためにYeを必要としており、彼はソーシャルメディアのプレゼンスを拡大することに関心がある」と、両者の思惑を説明。「プラットフォームの成長やマーケティング活動の観点から、彼がプラットフォームにもたらす可能性にワクワクしている」と話した。

一方、カニエは、「保守派の意見が問題視される世の中で、われわれは、自分を自由に表現する権利があることを確実にしなければならない」とコメントを発表した。

売却は2022年第4四半期に完了する計画で、パーラメントは技術支援とクラウドサービスを引き続き提供するとしている。売却価格は明らかにしていない。

カニエは10日、ツイッターに反ユダヤ主義的な投稿した後、アカウントを一時停止された。その前日にはインスタグラムでも停止処分を受けている。

ファーマー氏は英国人で、妻はメディアパーソナリティーで保守派の論客として知られるキャンディス・オーウェンズ。二人は2019年にバージニア州にあるトランプ前大統領のワイナリーで結婚式を挙げた。EUを「有害で社会主義、大量虐殺の超国家」と述べるなど、反対姿勢を示している。なおオーウェンズ氏は2020年に第1子を出産し、今年2月に第2子を妊娠中であることを明かしている。

カニエは今月3日に開催した自身のファッションショーに、オーウェンズ氏とともに「ホワイトライブズマター」と書かれたTシャツを着て現れ、物議を醸した。

パーラーの設立は2018年。ツイッターやフェイスブックなどの大手SNSが規制を強化する一方、フリースピーチを謳い文句に保守派のユーザーを中心に人気を伸ばした。2020年の大統領選挙期間中、新たに400万人が登録したとされている。共和党のヘビードナーとして知られるレベッカ・マーサー氏が、共同創設者に加わっている。

1月6日の議事堂襲撃事件後、アップルとグーグルがアプリの提供を停止したことで人気が減速(現在は復活)。この間、コンテンツモデレーションの問題を理由にアマゾンがホスティングを拒否し、一時的にサービスの停止を余儀なくされた。

ツイッターアカウントを永久凍結されたトランプ氏が経営に加わる可能性が度々報じられたが、トランプ氏は2月に自ら設立した企業で「Truth Social」をスタートした。

パーラーは今年9月、シリーズBで1,600万ドルを調達し、調達金額の合計が5,600万ドルに達したと発表。同時に、カルファルニアのクラウド企業「Dynascale Inc」を買収し、再編の一環として親会社パーラメント・テクノロジーズを設立したことを明らかにしていた。

SNS業界の行方は?

保守派ユーザーの大手SNS離れを背景に、パーラーやTruth Social、トランプ陣営の元上級顧問、ジェイソン・ミラー氏が立ち上げたGettrなど、新たなサービスが誕生している。一方、ツイッターについて、イーロン・マスク氏は先日、一時撤回した4月の合意に沿って440億ドルでの買収を進めることを同社に提案した。5月に共和党に鞍替えする意向を示して話題になったマスク氏は、ツイッターには「左派のバイアスがある」と主張しており、トランプ氏のアカウントについても、永久凍結するべきでないとの見方を示している。