ラッパーでデザイナーのカニエ・ウエスト(Ye)は3日、自身のブランドYeezyのファッションショーで、「ホワイトライブズマター」と書かれた長袖Tシャツを着用してステージに登場した。

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Tシャツは、前面にヨハネ・パウロ2世の写真がプリントされ、後側には「White Lives Matter」の文字が描かれている。SNSには、黒人のモデルがこのシャツを着て、ランウェイを歩く様子も投稿されている。

Tシャツの目的について明らかにしていないが、この日、自身のインスタグラムのストーリーズで「ブラックライブズマターが詐欺であったことは、周知のとおりだ。今は終った。歓迎する」と投稿した。

先月、人種差別への抗議運動ブラックライブズマターの中心的な組織で、全国から集まる寄付金を管理する「ブラック・ライブズ・マター・グローバル・ネットワーク・ファンデーション」(BLMGNF)の元トップが、1,000万ドルを不正に流用したとして、各地の支部を統括する組織から提訴された。今年4月には、BLM運動創始者の1人で、同組織のエグゼクティブ・ディレクターを務めていたパトリース・カーン=カラーズ氏が、高級物件を次々と購入していたことが発覚し、運動関係者から、独立調査を求める声が上がった。

なお「ホワイトライブズマター」について、名誉毀損防止組合は、白人至上主義者のネットワークが、「白人の人種意識」を高めるために提唱している「ヘイトのシンボル」と説明している。

カニエのパフォーマンスに、ネットでは非難の声が相次いでいる。

テンプル大学のマーク・ラモント・ヒル教授は、カニエが右派の論客キャンディス・オーウェンズと共にホワイトライブズマターのシャツを着用した画像を投稿。「不快、危険かつ無責任」とコメントした。

ニューヨークタイムズのファッションエディター、ヴァネッサ・フリードマン氏は、「ホワイトライブズマターTシャツに弁解の余地なし」と題した記事の中で「Yeezyは死んだ」と非難した。

ショーに出席していたウィル・スミスの息子、ジェーデン・スミス氏はツイッターに「Black Lives Matter」「われわれは、より進歩的な未来を求める」などと投稿し、抗議の意を示した。なおスミス氏は、ショーを途中で退席したという。

ショーを最前列で見ていたVogueのエディター、ガブリエラ・カレファ・ジョンソン氏はSNSで、カニエのデザインは、ファッションやアートなどではなく「純然たる暴力」と糾弾した。

カニエはこれに対し、ジョンソン氏は「ファッションセンスがない人物」「アナ・ウィンターはこんなブーツ大嫌いだ」などと反論している。

カニエは過去、TMZの番組で「奴隷が400年も続いたというのは、選択だったかのように聞こえる」と発言し、物議を醸したこともある。2020年には「MAGAハット」を着用し、ホワイトハウスでトランプ前大統領と面会した。この年、第3政党「バースディ党」を立ち上げ、出馬を宣言して話題となった。