米俳優ジャシー・スモレット ヘイトクライム自作自演で逮捕

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Jussie Smollett
Tinseltown / Shutterstock.com

FOXドラマ「Empire 成功の代償」に出演中の俳優ジャシー・スモレット(Jussie Smollett)氏(36)は21日早朝、シカゴ市警察に出頭し、その後逮捕された。

スモレット氏は先月29日、男性2人から憎悪犯罪(ヘイトクライム)を受けたとして、シカゴ市警察に通報を行った。しかし、この犯罪はでっち上げとして昨日、虚偽通報と通治安紊乱行為の罪で起訴された

スモレット氏は、2015年にゲイを公表している。人種や性別、政治に関連する有名人へのヘイトクライムとして、全米で大きな話題を巻き起こした事件は、本人の自作自演という驚きの結末を迎えることとなった。

スモレット氏は午後、クック郡の裁判所に出廷し、保釈に関する審問が行われた。

スモレット氏は、事件発生の前、虚偽の脅迫状を自分自身に送付している。しかし、Foxスタジオの反応に落胆したため、自作自演の犯罪を思いついたと裁判所で検察は指摘した。その後、男性2人に3,500ドルを支払い、行動に至った。

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スモレット氏は、保釈金10万ドル(約1100万円)を支払い、パスポートを返上することで、保釈が認められた。

スモレット氏には、最大3年の禁固刑および捜査に関わる費用の支払いなどが求められる可能性がある。

シカゴ市警察は強く非難

シカゴ警察のエディ・ジョンソン(Eddie T. Johnson)警察本部長は、午前中の記者会見で犯罪の状況を説明した。

スモレット氏よる嘘の憎悪犯罪は、「彼のキャリアを昇進させるための売名行為だった」と強い口調で非難した。
動機については、出演ギャラに満足していなかったためと述べた。
(事情を知る人物は、直近のシーズンでは、スモレット氏に1エピソードあたり65,000ドル、約720万円が支払われていたとハフポストに語っている)

事件の経過

1月29日午前2時頃、スモレット氏はマスク姿の男性2人が近づいてきて、人種差別かつ同性愛者を嫌悪する言葉を叫び、殴り、なんらかの化学物質を浴びせ、首に縄をかけたと警察に証言した。その際「これがMAGAの国だ。」とトランプ大統領のスローガンを引用し、怒鳴ったとしている。
スモレット氏は、その後自宅に戻り警察に通報した。
警察は、憎悪犯罪の可能性として捜査を開始。

シカゴ警察は、100人以上への聞き込みと、55台以上監視カメラを分析した結果、ナイジェリア出身の兄弟(Olabinjo OsundairoさんとAbimbola Osundairoさん)が容疑者の可能性として浮上した。

2月13日、ナイジェリアから米国に戻った2人は、米税関当局で拘束された。しかし、追訴されることなく、15日に釈放された。
(この間、スモレット氏は、ABCのグッドモーニングアメリカに出演し、事件発生時の状況を語り、改めて自分は被害者だと訴えている。)

2月20日、兄弟が陪審員の前で証言を行った後、シカゴ警察は、スモレット氏が、虚偽の通報と治安紊乱行為の罪で、犯罪捜査の容疑者としたことを発表した。

トランプ大統領も言及

トランプ大統領は逮捕を受け、21日午前、自身の支持者を侮辱したとしてスモレット氏を非難するツイートを投稿した。

「Empire」を放送する20世紀フォックスは、「問題の深刻さを理解しており、法的手続きを尊重する。」とし、状況を見て、今後の選択肢を検討すると声明を発表した。