米下院、連邦最低賃金の時給15ドルへの引き上げ法案が通過

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民主党が多数の下院では18日、連邦最低賃金を2025年までに時給15ドルに段階的に引き上げる法案「Raise the Wage Act」を可決した。

投票結果は231-199で、賛成と反対が両党の議席数に近い数字となった。

現在の連邦最低賃金は時給7.25ドルで、2009年以来変化していない。インフレを考慮した場合、実質の最低賃金は過去50年間下降を続けている。1968年の最低賃金は1.6ドルだったが、2018年の貨幣価値では11.79ドルに相当し、現在の水準よりも60%高いという。

法案の上院通過は厳しいとみられている。上院で共和党トップのミッチ・マコーネル院内総務は、最低賃金15ドルは雇用を奪い、良好な経済を圧迫するとし、採決を行わない意向を示している。

議会予算局(CBO)は、今月初めに公表した引き上げの影響に関するレポートで、1,700万人の労働者の賃金が上昇する一方、130万人が失業する可能性があると試算している。

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現在の2倍以上に賃金を引き上げる法案に対し、業界グループからは反発の声が上がった。

最大の中小企業擁護団体である、全米自営業者連合(National Federation of Independent Businesses)のJuanita Dugganin代表は、法案は「零細企業の記録的成長、雇用創出、すでに高騰している賃金」に壊滅的なダメージを与えると述べつつ、地方自治体レベルでの最低賃金引き上げが悪影響を及ぼしている間に、「連邦レベルで同じ轍を踏んではならない」と反対声明を出した。

また全米レストラン協会は「家族経営のビジネスを損なう」と反対を表明。「チップクレジットを排除することは、現在の平均時給19-25ドルを下げることになる」と従業員に対する悪影響を述べた。「チップクレジット」と呼ぶ連邦法の規定では、チップ収入が多い特定の職業形態において、最低賃金以下の水準を定めている。法案では、将来的に規定を廃止することが盛り込まれている。

これら団体が中小企業への影響を強調する一方、小売部門をはじめとする一部の大手では、賃金を引き上げる動きが拡大している。

オンライン小売大手のアマゾンは昨年11月、国内の従業員の最低賃金を15ドルに引き上げた。同社のジェフ・ベゾス最高経営責任者は今年4月、株主向けの年次書簡で、「競合トップの小売企業は、我々の福利厚生と最低賃金15ドルに匹敵させてみろ」と述べるなど、業界の賃金水準を牽引する姿勢をアピールした。

最大のライバルのウォルマートは昨年1月に最低賃金を11ドルに引き上げている。CNBCによると、ダグ・マクミリオン(Doug McMillon)最高経営責任者は6月の株主会合で、連邦最低賃金は「低すぎる」と述べ、「最低賃金引き上げのために、議員が慎重な計画をたてる時がきた」と語った。

一方、ターゲットは今年4月に最低賃金を13ドルに引き上げ、2020年末までに15ドルに引き上げるとしている。

またマクドナルドは今年3月、全米レストラン協会に対し、最低賃金引き上げに反対するロビー活動に協力しないことを告げ、全産業の賃金引き上げを支持する姿勢を示した。