米メキシコ国境危機 川で溺死した親子写真に衝撃

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26日、メキシコと米国の国境の川を違法に渡ろうとして溺死した親子の写真がメディアに掲載され、多くの人が衝撃を受けた。ニューヨークタイムズは朝刊の一面に写真を掲載した。

NYT
New York Times

亡くなったのは、オスカル・アルベルト・マルティネス(Oscar Alberto Martínez)さん(25)と娘のアンジー・バレリア(Angie Valeria)ちゃん(2歳11ヶ月)。

2人はメキシコ側の川辺で、濁った水の中でうつ伏せの状態で発見された。バレリアちゃんは、父親と一緒にTシャツに包まった状態で、手を父の首にかけている。

地元紙La Jornadaによると、エルサルバドル出身の2人は、先週土曜、メキシコからテキサス州ブラウンズビル(Brownsville)にたどり着くため、リオ・グランデ(Rio Grande)川を渡ろうとして溺れたという。約400メートルの距離だった。

写真を撮影したユリア・レ・デュク(Julia Le Duc)氏は、父親のオスカルさんは、いったんテキサス側にたどり着き、アンジーちゃんを川辺に置いた。妻のタニアさんを迎えに行くため再び川に戻ったところ、アンジーちゃんが川に飛び込んだとCNNに語った。父親は娘に追いついたが、そのまま急流に飲み込まれた。その様子は妻のタニアさんも目撃していた。

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オスカルさん一家は、難民申請を行うためメキシコのマタモロス(Matamoros)移民キャンプにたどり着いた。米国に政治的亡命者の保護を求めるつもりだったという。

一家は2ヶ月メキシコに滞在し、メキシコ政府から人道ビザを発給されていた。マタモロスの橋で亡命申請を求めたが、その日事務所は閉まっており、翌日来るように求められたため、川を違法に越えようと決意したという。

母親のラミレスさんが、オスカルさんが、エルサルバドルのSan Martínで料理人として働いていたが、家を購入する資金を貯めるため、米国に向かった。危険が伴うため、子供たちは連れて行かないよう説得したが、叶わなかったとCNNに語っている。

国境危機を象徴する写真は、2015年にトルコの海岸に流れ着いたシリア人のアイラン・クルディ(Aylan Kurdi)君(当時3歳)を彷彿とさせるという声も上がっている。

急増する移民

税関・国境警備局によると、先月メキシコ国境から流入した移民数は昨年比3倍となるなど急増している。2018年10月以来、約60万人が違法に国境を超え拘束されている。

ある政治家は、政府が国内に立ち入ることを難しくしているため、危険を冒して国境を違法に超える人々が増加していると主張する。

今回事故が発生したマタモロスでは約2,000人の移民が5月から待機しているが、難民申請のための面談は週平均で僅か3件となっている。

2人の死亡を受け、エルサルバドル政府は経済問題を解決しようとしているとして、命の危険を犯してまで、国外に出ないよう市民に警告を行った。

収容施設の劣悪な環境も問題に

先週、テキサス州クリント(Clint)の収容施設に立ち入った弁護士が、施設内の劣悪な環境を指摘し、大きな問題となった。

移民たちは、定員数を超える部屋に収納されており、シャワーや石鹸、歯ブラシなどを使用することもできず、赤ちゃんにはおむつもない状態だったという。朝はオートミール、昼はカップ麺、夜はブリトーなど毎日決まった食事で、空腹を訴える子供もいたという。

国境危機を受け、下院では25日、民主党内からも賛否の声が上がるなか、45億ドル(約4,865億円)の国境支援法案を可決。上院でも26日に同様の法案を可決した。