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密輸関与で有罪 麻薬王エル・チャポの妻エマ・コロネル・アイスプロとは?

麻薬密輸の共謀罪などに問われた麻薬王「エル・チャポ」ことホアキン・グスマン(Joaquin Guzman)受刑者の妻、エマ・コロネル・アイスプロ(Emma Coronel Aispuro)被告(31)は9日、首都ワシントンで開かれた公判で、すべての罪を認めた。数日前に、検察との司法取引に応じる見通しが伝えられていた。

ニューヨークタイムズによると、コロネル被告は緑色の囚人服姿で出廷。2011年から夫を助け、少なくともコカイン450kg、ヘロイン90kg、マリファナ90万kgを米国に運び入れたことを認めた。また2015年にメキシコのトルカにあるアルティプラノ刑務所からグスマン受刑者が脱獄した際、夫からの指示やメッセージを、息子らに橋渡しをしていたことを認めた。

司法取引では、求刑を禁錮108カ月から135カ月とすることで合意したという。ただしコロネル被告の弁護人のジェフリー・リクトマン氏は刑期はさらに短くなる可能性があると述べている。

夫は2019年に終身刑が確定し、「ロッキー山脈のアルカトラズ」の異名で知られるコロラド州の連邦刑務所で刑に服している。

司法取引には、捜査協力に関する条項は含まれなかった。捜査当局者は、グスマン受刑者のビジネスの利益は、ロスチャピトスと呼ばれる、コロネル被告以外の女性との間に生まれた4人の息子たちが管理していると話しているという。息子たちは米国の連邦法の罪に問われているが、メキシコで逃亡を続けているという。

ビューティークイーン

コロネルは1989年カリフォルニア州サンフランシスコ生まれ、メキシコの「黄金の三角地帯」の一部として知られる、マリファナや麻薬の生産が盛んなドゥランゴ州で育った。メキシコと米国の2つの国籍を保持している。2007年、地元のビューティーコンテストへの出場を祝うパーティーで、当時47歳だったグスマンと知り合ったと伝えられている。グスマンは、武装した仲間が乗った200台のスクーターと飛行機6機でパーティーを訪れたという。コロネルはこの年のコンテストで優勝。この2年後に18歳で結婚した。2011年にグスマンとの間に双子の女児をもうけた。

麻薬王と家族ぐるみのつき合い

コロネルの家族はグスマンと「歴史的な親交」があり、父親のイネス・コロネル・バレラスはグスマンが最高幹部を務めたシナロア・カルテルのメンバーだった。財務省の外国資産管理局は2013年にイネス・コロネルを外国麻薬キングピン指定法に基づく「外国の重要麻薬密売人」に指定した。同年、息子のイネス・オマール・コロネルとともにメキシコで拘束され、2017年に10年以上の刑を言い渡された。

脱獄を手助け

捜査に協力した証人の供述によると、2014年にグスマンが捕まり、メキシコで最高度の警備を誇るアルティプラノ刑務所に収監されると、コロネルは何度も面会に訪問。4人の息子やこの証人との間のメッセンジャーを務めた。コロネルは、息子および証人が参加したミーティングで、トンネルを使った脱獄計画に関するグズマンの指示を伝えるなどした。グスマンは、コロネルを通じて息子たちに刑務所近くの土地を購入するよう依頼。さらに証人に刑務所近くの倉庫を購入し、武器や装甲車を調達するよう指事した。一連のミーティングでは、グスマンがいる位置にトンネルを開通させるため、GPS時計を届ける計画も話し合われた。2015年7月11日、グスマンは房内のシャワー室に開通させたトンネルから脱獄した。トンネルの長さは1マイルにおよんだ。

セレブのイメージ

2018年に行われた夫の公判では、コロネルは高価なブランドの服に身を包み、セレブのような出で立ちで連日裁判所を訪れ、話題になった。ある時は、夫婦の絆を強調するかのように夫とペアのベルベットのジャケットで現れたこともあった。

インスタグラムアカウントは、わずか数件の投稿にも関わらず、数万人のフォロワーがいる。2019年には麻薬組織幹部らの家族の生活を追ったリアリティ番組「Cartel Crew」にも出演。ファッションブランドを立ち上げる夢を語っていた。

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