「豚マスク、クモ、ゴキブリ」送り付け。eBay元幹部 同社批判のニュースサイト運営者に嫌がらせ

116

EC関連のニュースサイト運営者に嫌がらせをしたとして、今年有罪となったオンライン・マーケットプレイス大手のeBayの元幹部2人に、それぞれ5年と2年の禁錮刑が言い渡された。被告らは、被害者宅に血のついた豚のマスクやクモ、ゴキブリを送りつけるなどしていた。

刑が確定したのは同社の元安全セキュリティーシニア・ディレクターのジェームズ・ボー被告(47)と元グローバル・レジリエンシー・ディレクター、デビッド・ハーヴィル被告(50)。ボー被告は禁錮57ヶ月と2年間の監督付釈放、および罰金4万ドルの支払いを命じられた。ハーヴィル被告には禁錮2年と2年間の監督付釈放、罰金2万ドルの刑が下された。

マサチューセッツ地区連邦検事局の発表によると、2019年の夏、2人はその他の従業員複数名とともに、同社に批判的なニュースレターを発行したマサチューセッツ州在住の夫婦に対する嫌がらせを画策、実行した。活動は「ニュースの論調と内容、記事に寄せられたコメント」に不満を抱いた上級幹部とボー被告とのやり取りの中から生まれたものだとしている。

被告らは夫婦を怖がらせて報道に影響を与える目的として、3段階にわたる嫌がらせを実行。自宅に匿名で不吉なものを送りつけたほか、ツイッターでダイレクトメッセージを送ったり、ニュースレターの内容を批判するツイートを投稿したりした。さらに自宅を訪れ、車にGPSを取り付けて監視を試みた。

送り付けたものには、”伴侶の死を乗り越える”などの内容が記された本や、血塗りの豚のマスク、豚の胎児、弔花、生きた昆虫があった。英紙ガーディアンは「生きたクモやゴキブリ」が送られたと伝えている。

Advertisement

オンライン掲示板に、夫婦の自宅での性行為を誘う投稿をしたこともあり、ツイッターでは、eBayのセラーを装ってニュースの内容を批判し、家の住所をさらすなどした。

2019年8月15日には、カリフォルニアからマサチューセッツの夫婦宅を訪れ、車にGPS機器を取り付けた。この時、ガレージに侵入する目的で、道具類を購入していたともいう。

バー被告は今年4月に、州を超えたストーカー行為や証拠改ざんなどの罪で有罪を認めた。この翌月に、ハーヴィル被告も有罪を認めている。その他、犯行に関わった元従業員5人も、すでに有罪とされている。

ガーディアンは、被害者の夫婦は、EC関連のニュースサイト「eCommerceBytes」を運営しており、犯行が行われたのは、eBayがアマゾンによるセラーの引き抜きの問題をめぐって起こした訴訟に関するニュースが発行された後だったと報じている。

同紙によると、発行直後、当時CEOだったデビン・ウェニグ氏が、経営幹部に当てたメッセージで「彼女を倒すならば、今だ」と伝えていた。この幹部がボー被告にメッセージを送り「偏見に満ちたトロールだ。弱体化させろ」などと告げたという。

ウェニグ氏は2019年に辞任しており、事件への関与を否定している。刑事告訴されていないが、夫妻はウェニグ氏に対して民事訴訟を起こしているという。