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プーチン支持者の著名指揮者を直前キャンセル。カーネギーホール

ニューヨークのカーネギーホールとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は、25日から出演を予定していたロシア人指揮者のワレリー・ゲルギエフ氏を交代すると発表した。

ゲルギエフ氏はプーチン露大統領との親交が厚いとされる。突然の変更理由は明らかにされていないが、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに、SNSでは#CancelGergievのハッシュタグのついた投稿が出回るなど、キャンセルを求める声が高まっていた。

コンサートは25日から27日の3回を予定しており、代役はカナダの指揮者、ヤニック・ネゼ=セガン氏が務める。また初日に演奏を予定していた、ロシアのピアニスト、デニス・マツー氏も出演を取りやめることを明らかにした。演目はラフマニノフのピアノ協奏曲第2番で、急遽、韓国出身のチョ・ソンジン氏が演奏することが決定した。

ニューヨークタイムズによると、ゲルギエフ氏とプーチン氏は30年来の友人。1990年代初頭に知り合ったという。当時、ゲルギエフ氏は芸術監督としてキーロフ劇場(後のマリインスキー劇場)を率い、プーチン氏はサンクトペテルブルグの高官だった。

2012年にプーチン氏の大統領選挙キャンペーンのテレビCMに出演したほか、2014年には、ロシアの文化省の呼びかけに応じて、クリミア併合を支持する署名にサインしている。この時、国営新聞は、ゲルギエフ氏の発言を引用し「ウクライナは我々が育ち、生活をしてきた文化の重要な部分だ」と掲載したという。

2016年には、シリアのパルミラ遺跡で行われたコンサートで指揮者を務めた。当時、パルミラ遺跡はイスラム国から奪還されたばかりで、アサド大統領は、ロシア軍の支援に感謝を示していた。コンサートは、アサド政権の支援を含む、ロシアの軍事的功績をアピールする目的に使用され、プーチン大統領はビデオで祝福のメッセージを送るなどして、参加した。

ウィーンフィルは、数日前のタイムズの取材で「彼はパフォーマーであって、政治家でない」と述べるなど、出演を擁護していた。カーネギーホールのエグゼクティブディレクター、クライヴ・ギリンソン氏も以前「この世で、なぜ芸術家だけが政治的意見を持つことを許されないのか」と話すなど、出演を支持する姿勢を示してきたという。

ゲルギエフ氏は5月にも、カーネギーホールでマリインスキー歌劇場管弦楽団を指揮する予定となっている。コンサートが計画通りに実施されるか、現在のところ明らかにされていない。

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