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「流血沙汰になる」ブラックライブズマター指導者、次期NY市長を牽制

14日、エリック・アダムズ次期ニューヨーク市長と面会を終えた「ブラック・ライブズ・マター・グレーター・ニューヨーク」の指導者、ホーク・ニューサム氏は、ブルックリン区庁舎の前で、私服警官部隊を再び導入することになれば、「暴動と放火、流血」を見るだろうと、忠告した。ニューヨークポスト紙が伝えた。

この日、アダムズ氏は、区庁舎前で抗議集会を行っていたニューサム市の一団を、急遽区庁舎に招き入れ、面会が実現した。

面会の間、両者は、黒人コミュニティの貧困問題の改善に向けて、共通の理解を示したものの、警察の取り締まりを巡って、互いに声を荒げる場面があった。

警官の不当行為があれば、市長に責任を取らせると迫るニューサム氏に、アダムズ氏は「君は当事者だ。私のコミュニティでの暴力をやめさせてほしい。私こそ君の責任を求める」と反論。

「私に責任を取らせるのではない」と続け、「市長、区長、州の上院議員を務める間、私は、私のコミュニティのために自分の身を危険にさらしてきた。私は、市長に責任を取らせるなどと、ここに訴えに来る連中のためにいるのではない」、「”私たち”だ。私たちが共に責任を負うのだ」と語った。

「ストップ・アンド・フリスク」を戻すのかと聞かれると、アダムズ氏は「ストップ・アンド・フリスクが、なくなったことは一度もない」と訂正した。

ストップ・アンド・フリスクは、マイケル・ブルームバーグ前市長時代に積極的に行われた呼び止め調査の手法。2011年のピーク時には685,000件に達した。有色人種がターゲットとなるケースが多く、「フロイド対ニューヨーク市」として集団訴訟へと発展した。連邦地裁判事は2013年、ストップ・アンド・フリスクは、間接的に人種的プロファイリングを引き起こしたとして、違憲判決を下した。

現在のビル・デブラシオ市長の元では方針が改められ、2018年に大幅に減少したが、近年増加傾向にあると報じられている

ニューサム氏は、面会後、区庁舎の前でメガホンを取り、「彼らが、昔の取り締まり手法に戻ろうと考えているのならば、われわれは、再び道を占拠する」と主張。「暴動が起きるだろう。放火があるだろう。流血沙汰になるだろう」と警告した。

ニューサム氏は、その後のポスト紙との電話インタビューで、アマドゥ・ディアロ氏やショーン・ベル氏、エリック・ガーナー氏を殺害した警察官に言及し、「歴史を無視して、また戻そうというのならば、彼は状況がわかっていない」と主張。「われわれは、彼の家のドアまで行き、市長官邸にまで行くつもりだ。これらの警官が、われわれを虐待することを許可するならば、道を占拠する」と話した。

さらにニューヨーク・デイリーニュースの取材では、「ゲシュタポがやってきて、人々に危害を加えることを、彼が許すなどありえない。平和を望んでいるが、最悪に備えなければならない」と、実力行使も辞さない考えを示した。

元警察官のアダムズ氏は、選挙キャンペーン中、治安回復に向けて、違法銃の取り締まりに焦点を当てた私服警官部隊(The plainclothes anti-gun uni)を導入する計画を示していた。

ニューヨーク市警察は昨年、600人からなる私服の防犯部隊(Anti-Crime Unit)の解散に踏み切った。防犯部隊は1990年代後半に創設され、最も治安が悪い地域の犯罪を取り締まるエリート集団とされたが、強引な捜査方法が非難の的ともなっていた。

2014年にスタテンアイランドで、エリック・ガーナー氏の殺害に関与したダニエル・パンテレオ元警察官も、防犯部隊に属していた。

アダムズ氏「馬鹿げてる」と一蹴

Fox5によると、ニューサム氏の警告に対して、アダムズ氏は翌日、「馬鹿げている」と一蹴。「ニューヨーカーは、あのような言動を許すべきじゃない」と非難し、「この街は、暴動の都市になることなどない」と語った。

CNNのインタビューにも出演し、「キャンペーンで明確にしているが、防犯部隊ではなく、私服の銃取り締まり部隊を設置する」と違いを説明。「われわれのコミュニティで起きている銃暴力に狙いを定めなければならない。21歳の若者が、銃を持った17歳に撃たれるような事件をみただろう」と公約を守る姿勢を強調した。

ニューサム氏のBLM組織とは?

ブラック・ライブズ・マター運動は、パトリース・カーン=カラーズ氏とアリシア・ガルザ氏、オパール・トメティ氏が2013年に組織した「ブラック・ライブズ・マター・グローバル・ネットワーク(BLMGN)」に端を発する。

ニューサム氏(44)は現在、妹のシヴァーナ氏とともに「ブラック・ライブズ・マター・グレーター・ニューヨーク」を運営しているが、グローバルネットワークは、以前デイリーメールに、ニューサム氏の組織は関係がないと名言している。

ニューヨーク市の今年の犯罪件数は8万1,769件で、昨年に比べ1.73%増加している。発砲や殺人件数は減少しているが、重罪の暴行やレイプ、強盗などが増加した。増加率が最も多いのは、公共交通機関での犯罪だった。9月に提出された被害届は350件で、昨年同時期に比べ、72%増加している。

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