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ネトフリ新作ドキュメンタリー「アメリカンファクトリー」公開

オハイオ州デイトンにある自動車ガラス工場「フーヤオ・ガラス・アメリカ」(FUYAO GLASS AMERICA)で働く人々を追ったネットフリックスの最新ドキュメンタリー作品「American Factory」の配信がスタートした。

映画は、昨年ネットフリックスと製作契約を交わして話題となった、オバマ前大統領夫妻によるプロダクション「ハイヤー・グランド・プロダクション」(Higher Ground Production)の初リリース作品。フーヤオ工場の前進だったゼネラルモーターズの組み立て工場の閉鎖を追ったドキュメンタリー「最後のトラック」(The Last Truck: Closing of a GM Plant)がアカデミー賞ノミネートを果たしたSteven Bognar氏とJulia Reichert氏が共同監督を務めた。

フーヤオは中国最大の自動車ガラスメーカー。2008年に閉鎖したGMの工場を2014年に買収し、同社初のアメリカ工場としてオープンした。GMの閉鎖により工場労働者や関連産業を含む1万人が失業した。工場開設にともなうフーヤオの投資は、当時、中国から米国への投資として8番目の規模で、オハイオ州にとっては最大。まさに衰退したラストベルトの一角に希望をもたらすものだった。

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工場のオープン時の様子を追う序盤では、従業員に楽観的で希望的な雰囲気がただよう。1,000人の従業員には元GM工場の労働者も多い。会社は中国から派遣した数百人のスーパーバイザーとアメリカ人をペアにして、技術をいち早く習得させようとする。会社は「2つの異なる文化を融合する」「真のグローバリゼーションだ」と意義を語るが、後に2つの文化の違いが軋轢を生じはじめる。

印象的なのは、中国人とアメリカ人の仕事感や帰属意識、労働環境の対比だ。研修を兼ねて中国工場を訪れたアメリカ人マネージャーは、廃棄ガラスをゴーグルなしで処理する労働者の姿に驚く。全体主義的な規律の元に働く従業員達をある種、興味深く観察する。中国式の規律を自身のチームに持ち込もうとするも、機能しない様子などが紹介される。

人々を失業から救った工場だが、なかなか生産目標が達成できない。ある時、カオ・デュアン会長は「アメリカ人労働者は効率が悪く、生産量が低い。彼らをマネジメントすることはできない」とつぶやく。会社は幹部を交代し、労働者にスピードと効率、生産性を一層厳しく要求する。監督者との衝突に加えて怪我が増えるなど、徐々に従業員の労働環境への不満が高まり、労働組合結成の動きへと発展する。

映画は観察的で、一定の主張に導かない。中国企業や従業員を非人間的に描くことなく、対立する価値観がインタビューを通じてバランス良く語られる。

ただ、30年間のGMの時代が二度と戻ってこないことは明らかだ。GM時代に時給29ドルだった従業員は、FUYAOでは12.8ドルになったと語る。労働組合の結成は、結局失敗に終わる。終盤では、工場のオートメーション化により従業員を削減する計画が語られる。最終テロップで監督は「オートメーションにより、2030年までに世界の3億7,500万人が全く新たな職を見つけなければならない。」と述べ、「労働者と政府、企業がいかにこの重大な変化に取り組むか。これが未来の労働を定義づける」と問いかける。

2016年大統領選で、トランプ大統領は「Make America Great Again」のスローガンとともに、製造業を取り戻すことを掲げ、オハイオ州を含むウィスコンシン州、ミシガン州などのスイング・ステートを制し、これが勝利の原動力となった。映画では、トランプ大統領の名前は一度も登場しない。しかし、映画のメッセージは明らかだと語るジャーナリスト、テッド・ジョンソン氏は、政治サイトのポリティコの寄稿で「もし製造業が帰ってきたとしても、以前のようなものではないだろう。アメリカ人は世界市場で競争するための新たな現実を受け入れなければならない。この現実を彼らは気に入らないだろうし、トランプ大統領も認めようとしない」と指摘している。

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