米コロナ救済金 中国ハッカー集団が2,000万ドル盗難

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米国のコロナウイルス救済給付金から少なくとも2,000万ドル(約27億円)が、中国政府に関係するハッカー集団によって盗まれたという。NBCニュースがシークレットサービスによる話として伝えた。

犯行に関与したとみられるのはAPT41と呼ばれるハッカーグループで、中小企業向け融資や十数州の失業保険基金が標的にされた。

盗難規模はさらに膨らむ可能性がある。コロナ詐欺に関する政府の調査機関との連絡役を務めるシークレット・サービスのロイ・ドットソン氏は同局に「このグループが50州すべてを標的にしなかったと考えるのは馬鹿げている」と話した。現在、海外と国内の犯罪を合わせて1,000件以上の捜査が進行しているが、中でもAPT41の動向に注目しているという。

APT41は成都市を拠点に活動しており、シークレット・サービスによると「中国政府が支援するサイバー脅威グループ」で、「スパイ活動や金融犯罪」に長けている。

専門家や元当局者らは、APT41は10年以上前に出現し、中国政府に利益をもたらすサイバー活動の「主力」になっていると指摘している。

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2020年9月、連邦大陪審は、APT41に関係する中国およびマレーシアのハッカー7人を、100を超える国内外の企業に被害を与えたとして起訴した。FBIは現在、このうちの中国籍の5人を指名手配している。

FBI

同事件を担当したデミアン・アン連邦検事補はNBCの取材に、同グループが途方もない活動範囲と資源を有することが証拠から示されたと説明。被告人らは「他人の情報を取得し、犯罪収益を得るために数万台のコンピューターを保有している」などと話していたという。

コロナ給付金の盗難が、中国政府による指示によるものか明らかではないが、現職を含む複数の当局者は、これまで以上の問題の深刻性を指摘。ある司法省高官は「危険」で、国家安全保障に深刻な影響を与える事態だと述べたという。

サイバーセキュリティ企業「マンディアント」の情報分析責任者によると、これまでAPT41が政府の資金を標的にした例はなく、犯行をエスカレートさせている可能性がある。