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ウクライナのアンドリー・イェルマーク大統領府長官は30日、米誌アトランティックに掲載した寄稿で、ロシアの核兵器使用の可能性は「非常に高い」と考えを示すとともに、9月に提示した新たな安保協定の実現を呼びかけた。

プーチン大統領は同日、ロシア編入を問う住民投票を実施したウクライナ東・南部4州の併合を宣言した。21日に住民投票に言及した際、予備役の投入計画とともに、西側諸国が「核兵器の脅迫」をするならば、「自分たちにも向けられる可能性がある」と話すなど、核使用を辞さない姿勢を示した。バイデン大統領は、4州の併合手続きは「偽り」であり、米国と世界は認めないとしている。

イェルマーク氏は、ロシアの核の脅しは、ウクライナ戦で劣勢に立たされていることを理解したからだとした上で、「われわれの情報機関は、ロシアが戦術核兵器を使用する脅威は”非常に高い”と評価している」と説明。続けて「ロシアが核の脅威に訴えることは、ウクライナだけでなく、地球上の全ての国に危機をもたらしている。核の脅しへの対応は、侵略者に対する譲歩の考えそのものを否定し、厳しく明確でなければならない」と語った。

さらに、ロシアを封じ込めるために、キューバ危機でケネディ大統領が示したものと同程度の強い決意を示さなければならないと主張。「決意を示すために、ウクライナの同盟国が今とることのできる具体的な措置がある」と述べ、9月中旬に提示した「キーウ安全保障協定」の実現を呼びかけた。

キーウ安全保障協定は、イェルマーク氏がラスムセン前NATO事務総長と共同でまとめたもので、NATOに加盟するまでの間、法的拘束力のある条約を結んだ保証国が、ウクライナの防衛力強化に必要な資源の提供を約束する案が示されている。

提案によると、米国、英国、カナダ、ポーランド、イタリア、ドイツ、フランス、オーストラリア、トルコなど「コアグループ」が保証国となり、防衛産業への投資や兵器移転、情報支援、軍事訓練を提供する。このほかに日本や韓国を含む国々は「パートナー」として、制裁など非軍事的な支援をするといった内容が記されている。

なお、ウクライナのゼレンスキー大統領は30日、テレグラムでNATOへの早期加盟を求める申請書類に署名したことを明らかにしたが、ジェイク・サリバン大統領補佐官(安全保障担当)は記者会見で「別の機会に取り上げられるべき」と慎重姿勢を示し、「ウクライナを支援する最善の方法は、実用的な支援だ」と語った。