今週(4月12日〜18日)に開示された議員たちの株取引を、委員会ポストと照らし合わせてみると、いくつか気になる“並び”が見えてくる。
しかも今回の取引の多くは、2月末の対イラン開戦から4月7日の停戦まで、相場が大きく揺れた時期に重なっている。原油高と地政学リスクが意識される中で、市場が不安定化した局面に、議員たちはどの分野へ動いたのか。
急落局面でエネルギー株を取得
3月13日。相場の弱さが目立っていたこの日に、オーガスト・リー・フルーガー下院議員(共和党・テキサス州)はエネルギー関連株をまとめて取得している。
対象は、エンタープライズ・プロダクツ・パートナーズ、バイパー・エナジー、ドーチェスター・ミネラルズ、キンベル・ロイヤルティ・パートナーズ。いずれも原油・ガス価格の影響を受けやすい銘柄だ。
結果として見ると、市場が大きく下げた局面でエネルギー分野に資金を振り向けた形になっている。同議員はエネルギー関連の小委員会に所属しており、担当分野と投資対象の重なりが意識される。
数週間にわたり同分野を積み増し
シェリー・ムーア・キャピト上院議員(共和党・ウェストバージニア州)のケースは、やや異なる。
3月28日にPNCファイナンシャルとアメリカン・エキスプレス、4月上旬にマスターカードを取得。3週にわたり、金融・決済関連銘柄への投資が続いている。
いずれも相場が重いタイミングでの購入であり、時系列でみると同じ方向の投資が積み重なっている。同議員は商務・科学・運輸委員会に所属しており、金融やデジタル決済の分野と接点を持つ。
弱い相場で同銘柄を買い増し
トーマス・H・キーン下院議員(共和党・ニュージャージー州)は、よりシンプルな動きだ。
3月18日と26日に産業ガス大手Lindeを購入し、さらに3月31日にはAmcorを加えた。相場が戻り切らない中で、下げたタイミングごとに買い増している形になっている。
エネルギー・商業委員会に所属する同議員にとって、Lindeは所管分野と重なる企業でもある。
停戦当日に集中した取引
今回の開示で目を引くのが、下院のリック・ラーセン議員(民主党・ワシントン州)だ。
4月7日、停戦が成立したその日に9件の取引をまとめて実行している。内訳は、インフラ関連の買いと金融・サービス系の売りだ。
買いにはキャリア・グローバル、ウエスチングハウス・エア・ブレーキ、ネクステラ・エナジーなどが並び、交通・インフラ委員会の所管分野と重なる銘柄が含まれている。
もっとも、取引の執行時刻や判断過程は開示されておらず、その日のどの時点で意思決定が行われたかは外部からは分からない。ただし、「停戦当日」という日付そのものは記録として残る。
委員会と一致しない例もある
一方で、すべての取引が委員会との整合性を持つわけではない。
ジョン・ブーズマン上院議員(共和党・アーカンソー州)は、農業委員会に所属しながら、3月の下げ局面でNVIDIAやマイクロソフトといったハイテク株を購入している。
欧州株ETFやヘルスケア銘柄の売却も含めると、こちらは担当分野というより、相場全体を見たリバランスに近い動きにも見える。
「並び」は何を示すのか
こうして並べてみると、いくつかのパターンが浮かび上がる。
担当分野と重なる銘柄を、相場の弱い局面で買うケース。
同じ分野を時間をかけて積み増すケース。
一方で、分野との関連が薄い動きもある。
いずれも違法ではなく、内部情報の利用を示すものでもない。
ただ、委員会で扱う分野と投資先が重なる場面があることは確かであり、議員の取引に関心が集まる理由の一つになっている。この「並び」がどこまで意味を持つのか。それを見極めるには、取引後のリターンを追う必要がある。
※STOCK法は議員の株取引を禁じるものではなく、45日以内の報告を義務付けるものです。

