9月29日で、日中国交正常化からちょうど50年となった。当然、この50年がどのように映るかは人々によって違うことだろう。しかし、日中関係を含む国際情勢に関する学会や国際会議を重ねる筆者は、世代によって中国へのイメージがかなり異なるのではないかと考える。そして、それは大きく3つの世代に分けられる。

1つ目は、今の70代、80代以上だ。この世代は正に親の世代から高度経済成長期を受け継ぎ、日本のバブルを経験した世代だが、この時、中国の経済力、軍事力は日本と比較しても圧倒的に弱く、おそらく中国が脅威に映っていない世代だ。中国はこの時代、経済発展のため何よりも援助を必要としていて、日本は重要な援助国であり、中国としても日本との間で政治的摩擦はできるだけ回避したかった。それもあり、特に民間の間で日中は良好な雰囲気で、この世代の中国を脅威と感じる人は少ないかも知れない。

2つ目は、今の30代から60代だ。この世代は自分が大人となり成長し、中国の発展途上国から経済大国へ変化するスパンをまざまざと見せつけられた世代だ。この世代が感じる中国は、驚きや脅威などで多くが占められ、70代、80代以上ほど友好を感じている人は少ないだろう。歴代で構築された日中経済、日中友好を知りつつも、近年の習指導部による対外的、対内的圧力により、中国を潜在的、現実的脅威と受け止め始めている。今日、社会で権力を握っているのはこの世代であり、今後いっそう日本企業の脱中国が進むかもしれない。

そして、3つ目が20代以下の世代だ。この世代で筆者が最も感じるのは、既に中国を大国、今の日米関係(米国が強い、日本が弱い)のように捉えている人々が少なくないということだ。発展途上国だった中国、被援助国だった中国というイメージが薄く、援助国中国、大国中国のイメージが強い。中国が脅威という認識は30代から60代と同じだが、こちらの世代は中国へのライバル意識はかなり薄い。筆者も大学授業で、中国問題を扱う時には、「アジアの中心である中国に日本はどう立ち向かうのですか」、「大国中国に米国は対峙できるのですか」といった質問を受けたことがある。“大国中国”という言葉を使う学生が少なくなかったのには驚かされた。

日中友好50年だが、祖父母と孫の世代では中国認識がかなり異なる。もちろん祖父母世代でも昨今の情勢を熟知している人も多いが、全体として日本人の中ではよりいっそう中国警戒論が高まりそうだ。

■筆者 カテナチオ:世界情勢に詳しく、特に米中やロシア、インド太平洋や中東の外交安全保障に精通している。現在、学会や海外シンクタンクなどで幅広く活躍している。