ニューヨーク移民危機、ホテルのシェルター化で有名レストランが閉鎖へ

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シェイクシャックの創業者でニューヨークの飲食業界の大物、ダニー・メイヤー氏のレストラン2店舗が、8月25日を最後に閉鎖することがわかった。

閉鎖が発表されたのは、フラットアイアンエリアにあるレッド・ベリー・ニューヨーク・ホテル内のイタリアンレストラン「Marta」と「Maialino」。Eater NYによると、同氏がトップを務めるユニオンスクエアホスピタリー・グループ(USHG)は声明で「Marta と Maialinoの営業終了をお知らせすることを残念に思う」とした上で、パンデミック後のホテルの完全再開を待ち望んでいたが、「レッドベリーが市と亡命希望者の受け入れで提携しているため、再開のスケジュールが無期限に延長されることが明らかになった」と説明した。「レッドベリーの取り組みを引き続き全面的に支持し、亡命希望者の労働許可を迅速化する政策変更を訴えていくつもりだ」と加えた。

Martaがオープンしたのは2014年。Maialinoは、2009年にグラマシー・パーク・ホテルにオープンしたが、新型コロナウイルスの影響によるホテルの閉鎖を受け、昨年10月にレッドベリーに移転していた。

ホテルは先週、ホームページを通じて宿泊予約の受付を停止することを発表したが、MialinoとMartaについては食事とイベントのサービスを継続するとしていた。

USHGは、今回の声明で、事業の存続には「イベントスペースやロビーのバーを含むホテル関連の飲食事業」が不可欠で、これらのスペースが現在使用できない状態にある、と閉鎖決定の理由を述べている。

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ニューヨーク市では、南部国境を超えた後に市内に到着する亡命希望者が急増。対応に追われている。

エリック・アダムス市長は先週、昨年春以降に市に到着した亡命希望者は10万人を超え、前週の1週間で新たに2,900人が加わったと明らかにした。生活施設の確保のために、これまでに200箇所近くの緊急拠点を開設している。

今年5月には、セオドア・ルーズベルト大統領にちなんで名付けられた歴史的ホテル、ルーズベルトホテルが「亡命希望者到着センター」およびシェルターとして生まれ変わった。レッドベリーの建物の歴史も古く、市の歴史的建造物に指定されている。

CBSニュースは、レッドベリーには子連れの家族が滞在していると伝えている。

市長によると、移民一家族のケアにかかる費用は一晩あたり383ドル(5.5万円)で、今後3年間の支出は120億ドルに上ると予測している。これを賄うためには、現在の予算に追加で70億ドルが必要になるという。市長は「市は資金と適切なスペース、人材を使い果たしている」と危機感を示し、州および連邦政府による追加支援を訴えている。