米有力紙 小林氏解任で日本の「耳の痛い真実」露呈。東京五輪スキャンダル

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東京オリンピックの開幕式で演出を担当した小林賢太郎氏が、過去にコントの中でホロコーストを取り上げたことで、組織委員会から解任された件は、米国でも一斉に報じられた。

ユダヤ人人権団体サイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)のラビ、エイブラハム・クーパー氏は声明で、小林氏と東京五輪関係者は「(ホロコーストで犠牲となった)600万人のユダヤ人の名声を侮辱し、パラリンピックを残酷に愚弄した」と厳しく非難した。

ワシントンポスト紙は、スローガンに『多様性における調和』を掲げる東京五輪が、開幕式前日に小林氏を解雇したのは「相当の恥」と報道。「差別が見過ごされてきたと多くの人が感じている国で、耳の痛い真実が露呈した」と述べた。

組織委員会は、礼儀正しさやおもてなし、治安の良さ、秩序だった都市など日本の良さをアピールしようとしたが、「大半が男性や高齢のエリートから成る」委員会は、「不快だとして激しい非難を浴びるような見解を、撒き散らし続けている」と指摘。

今回は世界の表舞台のオリンピックかつSNSで不満の声が高まっていたため、森喜朗前会長や「オリンピッグ」発言の佐々木宏氏、障害者イジメの小山田圭吾氏、小林氏は辞任または解任されたが、今まではこういった言動は軽く扱われてきたと説明。「2017年にヒトラーを称賛し、その2年後に少子化を女性のせいだと非難した麻生太郎氏は、発言を撤回し、職に止まっている」と述べた。

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ニューヨークの人権団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」のグローバル・イニシアティブ・ディレクター、ミンキー・ワーデン(Minky Worden)氏は同紙に、今回の騒動は、ジェンダーギャップリポートで156カ国中120位(主要先進7カ国の中で最下位)にランキングされている日本の「より根深い問題」を反映していると主張。

与党がLGBTの差別を禁止する法案提出を断念したことや、LGBTの子供やアスリートへのイジメ問題が報告されているとした上で、一連の問題は、日本に人権機関や委員会など「人権を保護するための基本的なシステムがないことによる結果」と考えを語った。