タイムズスクエア暴走事件 娘を失った父の悲しみの手紙

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5月18日(木)昼頃、タイムズスクエアで起きた乗用車の暴走事件。この事件で、ミシガン州から、母と妹で旅行で訪れていたアリッサ・エルスマン(Alyssa Elsman)さん(18)が亡くなった。現在、ニューヨーク市警察が、設置しているバリケード用のコンクリートブロックには、花束やキャンドル他、多くの追悼のメッセージが寄せられている。
アリッサさんの父親、トーマス・エルスマン(Thomas Elsman)さんが、先週末、このブロックの上に”Dad”よりと書かれた娘への別れの手紙を残した。

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©mashupNY

「メディカルスタッフ、警察、この街の多くの人々が、私たちに施してくれたサポートや、あふれんばかりの愛情には、言葉では言い表せないほど感謝をしています。
娘のために設けてくださった献花台や寄せ書き、また、皆様とお会いし、語り合うことは、私たちが彼女の死を受け止めるうえで、大きな支えとなっています。

多くの国や地域、信条の異なる様々な人々にお会いし、偏見や人種差別、無知などを取り払った時、私たちは一つになれることを示してくれました。いただいたお悔やみの言葉は、どれも心のこもったもので、大変心に響いています。私たちの他にも、20のご家族がこの事件に巻き込まれたことを、どうか心に留めておいてください。

アリッサは、この街を愛していました。…タイムズスクエアを。彼女は、皆様のあたたかい言葉に感謝していると思います。そして、前に進んで欲しいとも言っている気がします。

・・・ 今はどうしていいか分かりません。空虚です。私の心には、埋められることのない大きな穴が空いています。この事件が起こって、世界は一変してしまいました。彼女がこんな風に突然去ってしまうなんて、思ってもいませんでした。本当に言葉が見つかりません。あなたを愛しています、あなたを愛しています、あなたを愛しています。

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Dad」

ブロックに寄せられた追悼のメッセージ

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©mashupNY

トーマスさんは、FOX5への取材に、「私たちの長女は亡くなってしまった。私の心は、ニューヨークで死んでしまいました。」と悲しみを語っている。また、単なる事故だったのではなく、容疑者が、ドラッグをしていたことや、「皆殺しにしてやる」と言っていた事実に対して、「彼は何をやっているかを知っていたのです。」と怒りを表した。事件当日姉と一緒にいた13歳の妹も、肺の損傷、骨盤や足を骨折する重傷で入院中となっている。

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事件を起こしたリチャード・ロハス容疑者(26)は、5月19日(金)に殺人と20件の殺人未遂の罪で訴追された。ロハス容疑者は、「できるだけ多くの人を殺すために、殺人的な暴走をした。」「警察は、銃で私を撃つべきだった。」などと警察に語ったと言われている。
事故を起こした際、暴力的な行動を引き起こす作用があると言われる、合成マリファナ(PCP)もしくはangel dustという危険ドラッグをしていたと警察に話している。

同日会見したニューヨークのビル・デブラシオ市長の話によると、ロハス容疑者は、子供時代より、メンタルヘルスの問題があったと、家族が当局に話しているという。

ロハス容疑者はニューヨークのブロンクスで生まれ育ち、2011年7月に海軍に入隊。容疑者の友人は、入隊の動機について、ロハス容疑者は、ブロンクスから抜け出したかったようだとニューヨークタイムズに語っている。2012年にメイポート海軍基地の外で、タクシードライバーを殴り、警察に抵抗したため逮捕されている。また、2013年には、飲酒運転や借金を踏み倒したなどの罪により有罪となった。海軍のスポークスマンによると、ロハス容疑者は、2014年5月に軍を退役したという。
 ブロンクスに戻った後は、自分のキャリアが妨げられたとして、政府を非難するようになったという。また、その頃からアルコールを頻繁に飲み始めた。
2015年には、飲酒運転で二度目の有罪となる。事故を起こす前の5月11日には、男性をナイフで脅し、武器の所持と恐喝の容疑で逮捕されているが、翌日には、嫌がらせをした罪で有罪となり、条件付きで釈放された。