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8月24日でロシアがウクライナに侵攻してからちょうど半年となった。当然ながら日本ではロシア、プーチンのイメージは急激に悪化し(もともと悪かったともいえるが)、ウクライナをどう支援するかが大きなポイントになった。しかし、プーチンは強気の姿勢を崩していない。依然として、ウクライナに侵攻したのはウクライナに住むロシア系住民が抑圧されていたからだと、その正当性を強調している。今、プーチンは何を考えているのだろうか。

この半年間、ロシアにとっての出来事をプラスとマイナスで分けてみたい。まず、マイナス面だ。この半年、米国を中心に欧米諸国はロシアを強く非難し、ロシアへの経済制裁を強化する一方、ウクライナへの軍事支援を拡大させてきた。経済制裁が強化される中でマクドナルドやスターバックスなど世界的企業がロシアから次々に完全撤退し、経済的損失を受ける形となった。また、欧米から支援を受けたウクライナ軍の善戦もあり、プーチンが始めに描いていたウクライナ攻略は既にフィクションと化している。

しかし、プラス面も少なくない。世界全体で見ると、ロシアへ圧力を強化したのは欧米や日本など40カ国あまりであり、今後さらに大国となる中国やインド、ASEANや中東、アフリカの殆どの国も欧米に追随していない。むしろ、中国やインドとロシアの経済的結び付きは強くなる傾向にあり、この半年間で、欧米主導の対露制裁の抜け道も明るみになった。

おそらく、プーチンはウクライナへ侵攻すれば欧米から経済制裁を食らうことは織り込み済みだった一方、ここまで軍事面で苦戦することは想定してなかったと思われる。しかし、それ以上にプーチンが感じたのは、“各国とも自分たちの国益を最も重視し、侵略や戦争が発生しても道義的以上に実利的に外交を展開するというリアリズムの世界”だろう。

今年秋にG20を開催するインドネシアは、同会議にプーチンを招待することを発表し、インドは安価なロシア産エネルギーの輸入は避けられないとし、ロシアと距離を置くよう求める欧米の要請を一蹴した。また、8月はじめに米国ナンバー3といわれるペロシ米下院議長が台湾を訪問した際、中国は台湾を包囲するような軍事演習を実施するだけでなく、それを常態化させる仕草を示した。

こういった米国の要請や圧力に屈せず、自国の利を第一に、国益が合致すればロシアとも実利的接近を試みる各国の姿は、プーチンを強く後押ししている。これがこの半年でプーチンが発見した最大の収穫かも知れない。

■筆者 カテナチオ:世界情勢に詳しく、特に米中やロシア、インド太平洋や中東の外交安全保障に精通している。現在、学会や海外シンクタンクなどで幅広く活躍している。