NY地下鉄無差別銃撃事件、容疑者を殺人罪で起訴。過去に19回の逮捕歴

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22日にニューヨークの地下鉄車両内で起きた無差別銃撃事件に関し、24日、アンドリュー・アブドゥーラ(Andrew Abdullah)被告(25)が逮捕・起訴された。

事件は22日午前11時40分ごろ、ブルックリンからマンハッタン方面に向けて走るQトレインで起きた。ニューヨーク市警察が発表した目撃者の証言によると、電車の最後尾の車両内を歩き回っていた被告は、電車がマンハッタン・ブリッジを走行中、銃を取り出し、乗客の男性の胸部に向けて、至近距離から発砲した。撃たれた男性は、病院に搬送され、死亡が確認された。

デイリーメールによると、アブドゥーラ被告は自ら、チャイナタウンにある第5管轄警察署に出頭したが、その1時間前、マンハッタンのトライベッカにある法律互助組合を訪れていた。同サイトは、ブルックリンの司教と弁護士が、エリック・アダムス市長に対し、何らかの交渉を行っていたと伝えている。

アダムス氏と接触したとみたれる司教は、「Leaders of Tomorrow International Church」の指導者、ラマー・ホワイトヘッド(Lamor Whitehead)氏。35万ドルのロールスロイスで警察署に乗り付け、フェンディのブレザーとシャツ、チェーンネックレスを身につけ、報道陣の質問に答えた。

ホワイトヘッド氏は、銃撃事件に関して「彼は、何も覚えていない」と述べ、無実であることを主張したという。

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保釈中の犯行

アブドゥーラ被告は2015年以降、少なくとも19件の逮捕歴があった。現在は保釈中で、複数の罪状について、公判が進行していた。

2017年5月、ハーレムで活動するギャング集団「Fast Money and Nine Block」のメンバーとして、殺人未遂など83件の罪で起訴された。禁錮3年の有罪判決を受けたが、2019年に仮釈放された。2020年1月、武器の所持で再逮捕されたが、10万ドルの保釈金を支払い、解放されている。2021年3月には、乳児を抱いた女性に暴力を振るい、家庭内暴力の罪で逮捕・起訴された。翌月にも盗難の所持などの罪で起訴されている。

abcニュースによると、アブドゥーラ被告はキャナルストリート駅を下車して逃亡中、犯行に使用した銃を、ホームレスに渡した。ホームレスは、その銃を10ドルで他人に売り渡していたと伝えている。

ブランチに向かう途中で被害に

殺害されたのは、ブルックリンのパークスロープ在住のダニエル・エンリケス(Daniel Enriquez)さん(48)。ゴールドマン・サックスの投資部門のリサーチャーで、9年間勤めていた。

エンリケスさんはこの日、兄弟とブルックリンのウィリアムズバーグでブランチをとるため、電車を利用していた。エンリケスさんの長年のパートナー、アダム・ポロックさん(54)はデイリーメールの取材に、最近ウーバーの乗車代金が高騰したため、地下鉄を利用し始めたと語っている。これまでは片道23ドルだったが、最近は40ドルに値上がりしていたという。Qトレインで、マンハッタンのユニオンスクエアで乗り換え、Lラインでウィリアムズバーグに向かう途中だった。

2人は、普段から街の犯罪や地下鉄の安全性について話し合っていた。ポロックさんは、エンリケさんが最後尾の車両にいたことに驚いたという。「彼を責めることはできないが、私なら絶対そうしない。(最後尾は逃げ場がなく)より閉じ込められる」と語った。

エンリケスさんの姉妹、Griselda Vileさんは「誰もこのような目に遭うべきではない」「最悪なのは、犯人が捕まったとしても、再び(拘置所から)出てくることだ」とニューヨーク州の刑事司法制度を非難。「市長に、この街は安全でないと伝えてほしい」と訴えた。