米最高裁 LGBTに対する雇用差別を審理へ

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米連邦最高裁判所は22日、同性愛者やトランスジェンダーであることを理由に解雇された3つの訴訟事件について審理を行うことを発表した。

審理により、性に基づく雇用差別を禁じる公民権法タイトルVIIが、性的指向とジェンダーアイデンティティに基づく差別をカバーするかどうか、最高裁が判断を下す。

タイトルVIIでは、同性愛者やトランスジェンダーに対する雇用差別の禁止は明文化されていない。

ニューヨークタイムズによると、ほとんどの連邦巡回控訴裁判所で、性的指向による差別は法の適用外と解釈されてきた。ただし、ニューヨークとシカゴでは近年、ゲイとレズビアンに対する差別は、性差別であるとする判決が下されているという。

最高裁は、「Altitude Express Inc. 対 Zarda」と「Bostock 対 Clayton County, Georgia」の2つのケースを合わせて審理する。

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前者は、同性愛者であることを理由に解雇されたスカイダイビングのインストラクターのケースで、ニューヨークの第2巡回区控訴裁判所は、「性的指向に基づく差別は、少なくとも部分的に、性別に基づくものであり、よって性差別の一部である」と結論づけた。

一方、後者は、児童福祉サービスのコーディネーターが同性愛者であることを理由に解雇されたとして、クレイトン郡を訴えたもので、アトランタの第11巡回区裁判所は、同性愛者の解雇はタイトルVIIによって禁じられていない」と、ニューヨークと反対の判決を下した。

3つ目のケース「R.G. & G.R. Harris Funeral Homes 対. Equal Employment Opportunity Commission」では、連邦法によって、ジェンダーアイデンティティに基づく雇用差別が禁じられるか否かが問われる。ミシガン州の葬儀会社で働く女性は2013年、トランスジェンダーであることを報告した後に解雇された。同件を巡って、雇用機会均等委員会(EEOC)が葬儀場を提訴。2018年にシンシナティの第6巡回区控訴裁判所は、トランスジェンダーの人々に対する差別は、タイトルVIIで禁じられると判断を下した。

最高裁は昨年、保守派でありながら同性婚合憲化を支持するなど、浮動票として重要判決に影響を与えたアンソニー・ケネディー判事が退任し、後任にトランプ大統領の指名したブレット・カバノー判事が就任した。保守色が強まる最高裁の判決がどちらに傾くか、注目される。