クリント・イーストウッド監督『ハドソン川の奇跡』米国で大ヒット

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ハドソン川の奇跡
Kathy Hutchins / Shutterstock.com

クリント・イーストウッド(Clint Eastwood)監督の最新作『ハドソン川の奇跡』(SULLY)が8日、北米で公開された。

週末のオープニング興行収入は、予想を大きく上回る3,550万ドル(約35.5億円)を記録。9月公開作品としては、歴代第5位、イーストウッド監督作品としては、監督史上最高最のオープニング数字となった。
2位のサイコスリラー映画「When the Bough Breaks」の1,500万ドルに大きく差をつけ、興行成績のトップを獲得した。

ヒットの要因は?

comScoreによる出口調査によると、観客の82%が25歳以上となり、映画を鑑賞した理由として、39%がトム・ハンクスが主役であること、20%の人がクリント・イーストウッドが監督であることを挙げた。ワーナーによると、観客の35歳以上が80%、また56%が女性だという。
批評家の評判は、ロッテントマト(rotten tomato)では、83%が良いと評価した。

2009年1月15日に起こった、USエアウェイズ1549便の緊急着水による事故は「ハドソン川の奇跡」として、米国在住の人々の記憶に新しい。
現代のサリー(SULLY)は機長、チェズレイ・サレンバーガー氏の相性で、緊急時の賢明な判断により155名の乗員・乗客全員を救った英雄として、世界中で大きく報じられた。
実力派の役者と監督が、実話に基づいて作り上げた映画ということで期待が高まったのが、大きな要因とされる。
また、3,525シアターの公開館数は、9月公開作品としては9番目に多い。

本作品は、ハリウッドで初めて全編、デジタルIMAXカメラで撮影された。映像的にも臨場感と緊迫感が味わえる作品となっている。

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英雄という名に隠されたストーリー

『ハドソン川の奇跡』は、2009年1月15日にUSエアウェイズ1549便のハドソン川への不時着水事故を元にしたドラマ。
機長であるサリーこと、チェズレイ・サレンバーガー(Chesley “Sully” Sullenberger)氏の自叙伝「Highest Duty」を元に製作された。

1549便は、ニューヨークのラガーディア空港から離陸後間もなく、ガンの群れによるエンジンへの衝突(バードストライク)により、左右両方のエンジンが停止するという事態に見舞われた。
機長の判断によりハドソン川へ不時着し、乗員乗客全てが無事に生還を果たした。
サレンバーガー機長は、事故直後から街中で英雄として称えれるが、判断を間違えればニューヨークの高層ビルに衝突しかねなかったという幻想に悩まされる。国家運輸安全委員会 (NTSB)は、ハドソン川への着水は回避可能で、事故は人為的ミスだったのではという疑惑を投げかけられる。
左エンジンが実は完全に停止していなかったという話や、空港へ引き返すことが時間的に可能であるとの調査結果を突きつけられる。

サレンバーガー機長の役ををトム・ハンクスが、副操縦士のジェフリー・B・スカイルズ役をアーロン・エッカート(Aaron Eckhart)が演じた。
日本公開は9月24日