裕福で知られたファインスタイン議員 残された資産とお家騒動

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28日に90歳で他界したダイアン・ファインスタイン上院議員(民主党 カリフォルニア)。女性の上院議員として最長の在職記録を更新する一方で、資産家としても知られていた。

OpenSecrets.orgの推計によると、2018年のファインスタイン議員の純資産は8,700万ドルで、上院議員のトップ2にランクインした。

CBSニュースによると、このうちの3,750万ドルは3番目の夫で投資会社「ブルーム・キャピタル・パートナーズ」の経営者リチャード・ブルーム氏(2022年に他界)と共同所有していたホテル関連企業の株式だったという。

今年の推計では、純資産は最大で6,940万ドル(約103億円)に上ると報じられていた。

この中には、国債などを含む推定価値500万ドル~2,500万ドルの財産から成る白紙委任信託、ファーストリパブリック銀行の口座に2,500万ドル、サンフランシスコの3階建て自宅(2,100万ドル)、ハワイのコンドミニアム(推定500万ドル)、ワシントンD.Cの邸宅(740万ドル)などが含まれる。また、上院議員になる前にサンフランシスコ市長を10年間務めており、市から受け取る年金は50万ドルから100万ドルと評価されている。

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ニューヨークタイムズによると、2021年にコロラド州の牧場を2,500万ドルで売却し、2021年にはタホ湖の7ベッドルームの物件を3,600万ドルで売却している。

夫の遺産めぐって法廷闘争

今年2月に長期の入院を余儀なくされたファインスタイン議員は、復帰後、議場で混乱する様子が報じられるなど、衰えが目立つようになっていた。そうした中、ブルーム氏の残した財産をめぐる複数の訴訟を提起し、一部のメディアから醜いお家騒動と書き立てられた。

訴えは信託財産の扱いに関するもので、娘でサンフランシスコ上級裁判所の元判事キャサリン・ファインスタイン氏(66)が代理人となり、信託の受託者2人を訴えた。

キャサリン氏の説明によると、ブルーム氏の信託の受託者らは、死後に500万ドルの夫婦信託を創設し、ファインスタイン氏に少なくとも年間150万ドルを支払う条件となっていたが、ブルーム氏の死後1年半が経過しても信託を創設しないどころか、約束の収益を分配する義務を怠った。

信託の唯一の受益者はファインスタイン氏で、ファインスタイン氏の死後は、ブルーム氏の3人の娘に引き継がれる。

キャサリン氏は、受託者らは3人の娘らに利益をもたらすために契約違反を犯したと主張。受託者の認定を取り消し、信託から受けた報酬を返還するよう求めた。また、受託者らの行為は、カリフォルニア州の福祉および施設規定の老人に対する経済的虐待にあたると主張。「裁判所は、検認規定に基づき回復された資産の2倍を支払うよう命じるべきだ」と訴えた。

キャサリン氏は、この前月の7月にも1996年に設けられた夫婦信託に関する訴えを起こしていた。この中で、ファインスタイン氏は多大な医療費を負担しているとした上で、受託者に返金を請求したが、支払いを断られたと説明。「死後に妻をサポートするという設定者の意図」に違反したとした。さらに、同信託についてブルーム氏は受託者の名前を明らかにしていなかったと主張し、自分を受託者として認めるよう裁判所に求めた。

受託者の弁護人はSFGATEに対する声明で「私のクライアントは、医療費はもちろんのことファインスタイン上院議員への支出を決して拒否したことはない」と疑惑を否定。続けて「われわれはキャサリン・ファインスタイン氏が母親の代理権を取得した証拠を一切提示されていない」とした上で、「なぜ現職の上院議員が、自分の代理権を誰かに要求する必要があるのか」と、キャサリン氏の動機に疑問を投げかけた。「私のクライアントは非常に懸念しているが、義理の娘が権利のない信託資産をコントロールしようと誤った試みをするのではなく、単なる誤解で、すぐに解決するのを願っている」と反撃した。