全米初 サンフランシスコ 市による顔認識技術の利用禁止へ

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サンフランシスコ市政執行委員会(San Francisco’s Board of Supervisors)は14日、市の行政機関による顔認識技術の使用を禁じる条例を8-1で可決した。米複数メディアが報じた。

条例は「シークレット・サーベイランス停止条例(Stop Secret Surveillance ordinance)」と呼ばれ、顔認識のほか、ボディ・カメラやライセンスプレートリーダーといったその他の監視テクノロジーの採用に関する規制も強化する。

顔認識技術の使用禁止は全米で初めて。The Hillによると、カリフォルニア州オークランドや、マサチューセッツ州サマービルで同様の法案が検討されている。サンフランシスコでは2回目の投票を実施する予定だが、形式的なものであるという。

条例はサンフランシスコ市政府にのみ適用される。そのため、企業や州政府、市内で活動する連邦政府の法執行機関、サンフランシスコ国際空港内で連邦政府が管轄する顔認識技術の使用には影響を与えない。

条例には「顔認証技術が市民権や市民の自由を危険にさらすという傾向は、主張されるところの利益を大きく上回り、技術は人種不平等を悪化させ、政府による継続的な監視から自由に生活する能力を脅かす」と、人権や人種平等の観点から、技術使用対して抑制的となるべき理由が述べらている。

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顔認識システムは、アマゾンやマイクロソフトといったハイテク企業大手が開発を進め、米政府機関などに販売をしている。アマゾンは連邦政府の捜査機関に、マイクロソフトは収容所に技術を販売しているという。

顔認識技術と人種バイアスの問題は、これまで度々問題されている。NGO団体 American Civil Liberties Union(略称 ACLU:アメリカ自由人権協会)がアマゾンの顔認識ソフトウエアをテストしたところ、28歳の黒人の女性議員を誤って犯罪者だと認識した。またMITのリサーチャーは、女性や肌の色が暗い人の認識を巡り、アマゾンの技術に問題があるとする調査結果を公表。アマゾンの政府への販売を中止を求める声へとつながった。

マイノリティーへの差別やプライバシー侵害につながるとして反対の声が強まる一方、法執行機関による顔認識技術の使用は増加傾向にある。連邦レベルでは、上院商務・科学・運輸委員会のブライアン・シャッツ(Brian Schatz)議員(民主 ハワイ)とロイ・ブラント (Roy Blunt)議員(共和 ミズーリ州)が3月、初めて顔認識技術の商用利用に関する法案を提出した。法案は捜査機関の利用に関するものではないが、顔認識の利用や、データの第三者との共有に関し、企業に人々の同意を求めることを義務付けるなどの規制が盛り込まれている。

サンフランシスコ警察は、2013年から2017年にかけて顔認識技術を試験的に導入したが、現在すでに利用を停止しているという。