「Q辞めました」議事堂襲撃Qアノンシャーマンが有罪認める

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議事堂襲撃事件に加わり、複数の罪で起訴されたQアノン・シャーマンこと、ジェイコブ・アンソニー・チャンスリー(元ジェイク・アンジェリ)被告は、3日に首都ワシントンの連邦裁判所で開かれた審問で、議会の議事妨害の罪について有罪を認めた。

ニューヨークタイムズによると、チャンスリー被告は、手続き的な質問に「はい」または「いいえ」で答える以外、話すことはなかった。懲役41カ月から51カ月の刑で検察と同意にいたったという。刑期は11月17日に言い渡される予定。

チャンスリー被告は1月6日、フェイスペイントに上半身裸、ツノ付きファー帽子、手には槍といった異様な姿で、他のトランプ支持者らとともに議事堂に押し入った。上院議場に侵入し、記念撮影をしたり、大声で歌ったりする様子が世界中に報じられた。議場ではペンス前副大統領の机に座り「もはや時間の問題だ。裁きが下される」とメモを残していった。

起訴後も、度々話題となった。

拘束直後、シャーマニズムの慣習を理由に、拘置所にオーガニックの食事の提供を要求。提供可能な施設への移送が認められるまで、1週間以上も断食した。

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3月に放送された60Minutes+では、議事堂侵入は「国家に対する攻撃」ではなかったと主張。歌を歌ったのはシャーマニズムの一環で「神聖なる議場にポジティブなバイブを生み出すためだ」と語ったほか、他の犯人が休憩室からマフィンを盗むのをやめさせるなど、「神聖な上院」で「物を盗んだり、破壊するのをやめさせた」などと弁解した。

弁護人のアル・ワトキンス氏も度々メディアのインタビューに答え、チャンスリー被告はトランプ前大統領の呼びかけに従っただけだと主張し、トランプ氏は恩赦を与えるべきなどと訴えた。5月には、政治サイト「トーキング・ポインツ・メモ」のインタビューで、議事堂に押し入った人々は「最悪の精神障害者たちだ」「脳にダメージを負った完全な知的障害者で、確実に精神的な問題を抱えている」と主張。さらに「世界でヒトラー以降例を見なかった無教養なプロパガンダに4年間もさらされた結果だ」と、トランプ前大統領をナチスに例えて非難するなど、過激な発言が話題となった。

ワシントンポスト紙によると、ワトキンス氏は審問にあたり、声明で、チャンスリー被告は「彼に関連づけられていたQと縁を切った」と述べ、今後は「Q」の文字で識別しないよう求めたという。

なおFBIは、逮捕者のうち、自らQアノン支持者と主張したのは20人以上だと報告している。下院議長のフロアに侵入を試みた際に、警官により撃たれ死亡したアシュリ・バビット氏もこのうちの一人だった。

チャンスリー被告は、地元アリゾナ州の右派の政治集会ではお馴染みの存在で、少なくとも2019年から州議会議事堂付近で、Qアノンに関連する様々な陰謀論を触れ回っていたと伝えられている。

家族も信奉者だという。

ワトキンス氏は審問後の会見で、チャンスリー被告の家族はトランプ氏が大統領に復帰すると信じていると説明。恩赦を与える可能性があるとして、有罪を認めないよう働きかけていたと明かした。

Qアノン信奉者の間では、トランプ氏の退任後、年内に復帰するという誤った説が繰り返し拡散されている。

ニューヨークタイムズによると、これまでに事件に関連して600人が起訴されている。すでに罪状を認めた51人に加えて、10月までに少なくとも11人が有罪を認める可能性があるという。