ニューヨーク市 フォアグラ禁止法成立 2022年から施行

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ニューヨーク市では、まもなくフレンチレストランのメニューからフォアグラが消滅する。

ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は25日、フォアグラの貯蔵や販売、提供を禁止する法案に署名した。施行は2022年からで、違反した場合、一件の違反ごとに500ドルから最大で2,000ドルの罰金が科される。

法案は今年1月に市議会に提出され、10月に42-6の賛成多数で可決された。

市が問題視するのは、「強制給餌」と呼ぶフォアグラの残酷な生産方法。フォアグラの生産過程では、カモやガチョウの喉にチューブを入れ、餌を強制的に流し込むことで肝臓を肥大させる。

ニューヨーク市は全米で最もフォアグラの消費が多い都市で、ニューヨークタイムズによると、現在約1,000カ所のレストランがフォアグラ料理を提供している。

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動物保護の法制化や議員の当選を支援する団体「Voters for Animal Rights」のアリー・フェルドマン・テイラー(Allie Feldman Taylor)代表は声明で「ニューヨーク市はフォアグラ生産者に対して、奇妙な1フィートのパイプを鳥の喉に押し込み、故意に病気にして肝臓を通常の10以上に拡大させる奇妙な趣味が残酷であり、思いやりのあるわれわれの市に居場所がないことをはっきりと伝えた。」と語った。

デブラシオ市長は同日、フォアグラ禁止のほか、馬車馬を暑い日(馬ヒートインデックスで測定)に働かせない法案や、野鳥の売買を禁じる法案、ニューヨーク市警察に半年ごとに動物虐待に関する調査レポートの公開を義務付ける法案など、複数の動物保護法に署名。市長は声明で「動物を人道的かつ公正に扱いうというわれわれのコミットメントをより強固とする法案に署名することを誇りに思う」と語った。

フォアグラの禁止を巡っては、カリフォルニア州で2004年に法が成立し、2012年に施行された。これに対し、生産者組合など業界が反発。2015年には連邦地裁でフォアグラ禁止を違憲とする判決が下った。しかし、2017年にサンフランシスコの控訴裁判所によって、連邦地裁の判決が覆された。原告側は最高裁に上告を試みたが、今年1月8日に最高裁が棄却したことで、フォアグラ禁止法が正式に施行されることとなった。シカゴ市では、2006年に条例で禁止されたが、2年後廃止となった。

現在インド、イスラエル、英国ではすでにフォアグラの販売および生産が禁止となっている。

食料品チェーンのホールフーズ(Whole Foods)は1997年より製品の販売を中止、食品デリバリーの「ポストメイト」(Postmates)は2018年より取り扱いを中止している。