移民対策が財政圧迫、NY市 教育・警察部門の予算削減へ

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ニューヨーク市は16日に発表した来年度の予算案で、警察や教育部門などの予算を削減する方針を明らかにした。

警察部門は新規採用を停止し、警官の数を33,000人から30,000人以下に削減する。教育部門の予算は2年間で10億ドル減らし、サマープログラムや、無償の幼稚園、コミュニティスクールなどの運営に影響が及ぶとみられている。さらに日曜日に図書館を閉館とするなどの対策が盛り込まれた。

昨年春以降、南部国境を越えて、ニューヨーク市に到着した難民申請希望者の数は13万人に達している。市は、シェルターなど保護施設の確保などの対応に追われている。今年度、移民対策費用として支出したのは、14億5,000万ドル(約2,150億円)だったが、今後2年間の費用として、110億ドル(約1.5兆円)を見込んでいる。

エリック・アダムス市長は、全ての分野で予算の削減が避けられないと述べつつ、「サービスへの混乱を最小限に抑え、・・的を絞り、重要かつ必要な措置を講じた」と説明。「移民対策費用が上昇する一方、税収の伸びは鈍化しており、新型コロナウイルスの景気刺激策の資金は枯渇しつつある」と厳しい状況を強調した。今回の予算削減は「始まりにすぎない」と述べ、「国家的な人道危機」を各都市が独自に対応すべきではないと主張。連邦政府による財政支援を求めた。

予算削減の対象となった部門からは反発の声が上がっている。ニューヨークポスト紙によると、警官組合は、安全を求める市民にとって「真の災害」と非難。「犯罪が蔓延していた80年代から90年代の人員配置の水準に逆戻りするだろう」と警告した。

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市の教職員組合も、移民の流入により、生徒数は増加していると説明。「不必要な損害を被る」と市長を批判した。